2021 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー視点から見た農業経営体の経営継承意識に関する定性的研究
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20H03092
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
原 珠里 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (30355466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 明広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主席研究員 (20355465)
堤 マサエ 山梨県立大学, 国際政策学部, 名誉教授 (50105970)
澤田 守 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, グループ長補佐 (60355469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農業経営継承 / 女性 / ジェンダー意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の農業経営において、直系家族制に基づく経営継承意識やジェンダー意識は徐々に変化しつつある。増加しているとみられる女性への経営継承の事例を明らかにすることを通じて、ジェンダーにかかわりのない経営継承がいかに可能になるのかを明らかにすることが本課題の目的である。そのために、本研究では主にグループインタビューや聴き取り調査を中心とした定性的な手法でアプローチしている。本年度は、前年度実施した女性後継者への聴き取り調査結果の分析とともに、さらに地域や経営において多様な女性の後継者への聴き取り調査を実施し、女性への経営継承が行われる条件について分析を進めている。 女性の経営継承者の調査対象の経営継承に関する外的要因として、現在の年齢、就農年齢、就農経緯・契機、兄弟順序、既婚・未婚、改姓の状況、配偶者の職業、経営規模・作目等の経営概況、経営の継承と家の継承の関係、地域の状況等の項目について明らかにした。その結果、男性の兄弟がいる場合でも家族状況や職業選択意思により女性が継承している事例がみられること、しかし姉妹のみの事例が多いこと、就農経緯についてみると兄弟姉妹構成によって決定時期が影響を受けていること、既婚の場合の改姓は年代による傾向がみられること、家の継承と経営継承は異なる論理によるとみられること、地域の状況や伝統的意識が個別の決断に影響を与えていること等の知見が得られた。経営継承の決断に至る経緯は、親世代、祖父母世代の価値観に強く影響を受けている事例も見られる一方、それらに反しての継承者の決断である場合もあり、家族全体の協議を経ている事例もみられることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
女性経営後継者へのグループインタビュー、聴き取り調査の実施が2022年1月以降にずれ込んだため、経営を移譲する立場にある経営主や、経営継承の円滑化をすすめている地域の役職者に対する調査を開始できていないためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は経営継承に関わる地域組織の役職者への聴き取り調査を進める。またすでに得た調査データの詳細な分析を実施することにより、女性への経営継承を可能にする要因について抽出した上で、Webによる調査の設計を行い年度内に実施する計画である。
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Research Products
(6 results)