2022 Fiscal Year Annual Research Report
Food, agricultural and rural problems in Okinawa during the rule of the United States
Project/Area Number |
20H03094
|
Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
小濱 武 沖縄国際大学, 経済学部, 准教授 (20816673)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高江洲 昌哉 神奈川大学, 国際日本学部, 非常勤講師 (10449366)
鳥山 淳 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 教授 (60444907)
秋山 道宏 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (90813767)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 沖縄農業史 / 占領政策 / 基地経済 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後から日本「復帰」までのアメリカ占領期を対象として、沖縄の農業・資源・農村問題を総合的に分析する。特に、沖縄農業を取り巻く政策・制度などの環境が外生的な圧力の下で形成されたという文脈に回収されなかった地域における多様な局面を明らかにする。その準備として、沖縄の農業関係資料について調査を進め、資料ネットワークを構築する。2022年度は、前年度に引続き、公的機関所蔵資料についての調査、個人所蔵資料についての調査、及びそれらの成果に基づく実証研究を進めた。その成果は、以下のとおりである。 公的機関所蔵資料については、研究代表者らを中心に、実地調査とデジタルアーカイブを利用した調査を併用しながら、継続的に資料収集・分析を進めた。特に、研究蓄積が比較的に浅い、沖縄県公文書館が収集したUSCAR文書を中心に作業を進めた。 個人所蔵資料については、コロナ禍の影響で保全活動が断絶したことで喫緊の課題となっていた資料保全を中心に進めた。2023年12月には伊江島での合同調査も実施した。 実証研究の成果のうち、論文として公刊されたものは以下の3点である。小濱武「戦後アメリカ統治期の沖縄における学校給食事業の展開―琉球政府学校給食法の制定過程に着目して―」『農業史研究』第57号、鳥山淳「「返還50年」の沖縄をどうとらえるか」『歴史地理教育』939号、秋山道宏「戦後沖縄の歴史はなにを問いかけるのか:日本復帰50年目の節目に」『平和運動』第613号。 また、学会報告としては、小濱と鳥山が、2023年3月に開催された日本農業史学会のシンポジウム「戦後沖縄農業・農村史研究の再検討」にてそれぞれ報告した。高江洲は「沖縄近現代史研究の50年」(琉球沖縄歴史学会)、秋山は「基地社会・沖縄の生活と生命をめぐる運動:日本復帰50年の地点から考える」(日本平和学会春季研究集会)などの報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大が全国的に収束した後も、研究メンバーらの所属機関や調査受入機関の方針等によって、公的機関所蔵資料及び個人所蔵資料についての調査規模を縮小せざるを得なくなった。前者については、研究代表者を中心に調査を継続して行ったものの、人数・時間の制限があり、十全な調査を行うことは困難であった。後者については、2023年12月までは少人数での調査で代行し、また、調査の一部は文献・資料の調査に替えて実施した。 前年度までの状況に引き続き、資料ネットワークの構築という点では、研究課題の進捗に課題があることも否めない。ただし、実証研究については、これまで研究メンバーらが継続して行っていた資料調査の結果及び沖縄県公文書館のデジタルアーカイブなどを利用しながら、着実に成果を出しつつある。本年度は、査読付きを含む論文3本のほか、学会シンポジウムでの共同報告も行った。 以上のことから、総合的に評価すれば、本研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下のような形で本研究を進める。 公的機関所蔵資料については、これまでの資料調査の成果を取りまとめる。 個人所蔵資料については、資料保全活動を中心としながら資料調査を可能な限り進める。 実証研究については、各自が学会報告及び論文投稿による公表を準備するとともに、これまでの成果を取りまとめる。
|