2020 Fiscal Year Annual Research Report
地形や光環境を考慮した土中水分・物質動態解析に基づく作物の成長・収量モデルの開発
Project/Area Number |
20H03097
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰己 賢一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40505781)
山下 恵 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70523596)
小島 悠揮 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70767475)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 土中水分・熱移動 / 根の吸水 / ファイトトロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,土中水分・物質動態解析に基づく作物モデルの構築であり,様々な条件での作物成長データの取得が不可欠である.データについては,通常通り成長するものから,枯れ死ギリギリの状態まであることで,構築するモデルの汎用性を高めることができる.そこで2020年度は人工気象室(ファイトトロン)内において,異なる環境下での小松菜の栽培実験を実施した.小松菜の栽培実験では,二酸化炭素濃度制御型のファイトトロンを用いて,大気濃度とほぼ等しい400ppmと高濃度の800ppmの条件のもと,ポットを用いて植物に水ストレスを与えない栽培に加えて節水条件の下で水ストレスを与える条件での栽培を行った.栽培期間中の土中水分,土中水ポテンシャル,温度,二酸化炭素濃度,酸素濃度をモニタリングするために,各種センサーを埋設しデータロガーによりデータを取得した.また,光合成速度も適宜測定し,栽培終了後にはポットを解体し,生体重や根の分布についても測定した.実験の結果,二酸化炭素濃度の違いについては明確な成長の違いは確認できなかったが,水ストレスは成長に大きな影響を与えることが分かった.一方で,反復回数や生育過程での作物体のモニタリングで課題が見つかったため,翌年以降の実験計画に反映することとした.
地形や光環境を考慮したモデルの構築については汎用土中水分・溶質・熱移動モデルHYDRUSをベースに修正作業をすすめ,畝間のような地形を考慮可能となった.一方で,光環境の変化などについては引き続きモデルの改良が必要となった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたファイトトロンでの作物栽培実験を実施し,潅水量および二酸化炭素濃度が作物の成長と土中水分動態に与える影響について実験的に明らかにするとともに,土中水分・熱移動解析モデルHYDRUSについて,必要な修正への取組を始めることができたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の栽培実験で明らかになった課題を踏まえて,条件を決定後,再度二酸化炭素濃度制御型のファイトトロンを用いた栽培実験を実施する.また,葉物植物は成長過程において,成長の目安となる異なるステージがないため,次年度は同様の実験を稲に対しても実施し,各成長ステージにおいて周辺環境の影響を明らかにし,モデル開発に応用する.
|