2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reactive transport modeling with carbon and nitrogen cycling for micro-aggregate up to root-zone scales in paddy and upland fields
Project/Area Number |
20H03098
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
取出 伸夫 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (70212074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 晋生 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10335151)
坂井 勝 三重大学, 生物資源学研究科, 講師 (70608934)
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
徳本 家康 佐賀大学, 農学部, 助教 (80445858)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 土壌圏 / 窒素循環 / 炭素循環 / 水循環 / 重量ライシメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水分不飽和の畑から湛水状態の水田までの窒素炭素動態の包括的な解明と体系化を目的に,水田と畑を対象に,水分移動を制御可能な重量ライシメータにおける有機物分解過程の水分,溶液・ガス成分,熱の集中モニタリングを行う.そのため,地下水位の浅い畑地や降雨強度の強い条件においても下端の圧力調整の可能な重量ライシメータを開発が必要不可欠である.その際,圧力調整ポンプの耐久性を高めた長期間の観測に耐えうるライシメータとするため,ハード面,制御のためのソフト面での改良が必要であった.そこで,既存のライシメータ装置を用いた実証実験を行い,下端の圧力調整装置の改良を行った.その改良装置を用いて,さらに堅牢性を高めた重量ライシメータを作成した. また,有機物分解を伴う土中の窒素・炭素循環をPHREEQCプログラムによるモデル化を行い,HP1プログラムと結合することにより,畑地における土中の水分・溶質・ガス・熱移動モデルを結合した反応移動モデルの構築を行った.まず,PHREEQCプログラムを用いて構築した窒素・炭素循環モデルは,C/N比の異なる有機物の分解実験のデータをさらに詳細に検討し,有機物の分解定数,その他パラメータをより精度高く推定することができた.また窒素・炭素循環モデルをHP1プログラムに適用し,水分移動の生じる土中において,有機物分解に伴う窒素と炭素の形態変化,アンモニアの有機化,無機化,アンモニアと硝酸の移動,二酸化炭素の気相中の移動の計算が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地下水位の浅い畑地や降雨強度の強い条件においても下端の圧力調整の可能な重量ライシメータを開発するためには,下端の圧力の調整と給水タンクからの給排水,また豪雨時の水没を防ぐための防水機能の強化と排水の問題を解決する必要があった.そのため,既存の重量ライシメータ(高さ30 cm・直径30cm×1台,高さ90 cm・直径30cm×2台)に対して問題解決のための修理改善を行い,その動作確認をした後,その成果を取り入れた新規ライシメータの設計を行った.それにより,水分量の高い状態でも利用のできる重量ライシメータ(高さ50 cm, 直径30cm)を作成することができた. また,PHREEQCプログラムによる窒素・炭素循環モデルをHP1プログラムに適用し,水分不飽和の畑地土における窒素と炭素の形態変化,窒素成分の移動,炭酸ガスの移動に加えて,アンモニアの電離,硝化,CO2の溶解によるプロトン反応とイオン交換反応を評価することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
改良および作成した重量ライシメータについて,下端の圧力調整と給排水を制御するプログラムを作成し,圧力の変動に対する給排水の最適なタイミングを決めるための実証実験を行う.それにより,現場圃場に埋設した重量ライシメータの長期間にわたる安定した可鍛圧力の調整が可能となると考える.有機物分解モデルに関しては,変異荷電を考慮した土の緩衝作用,有機炭素の酸化と好気・嫌気呼吸による還元反応の電子とプロトン考慮し,EhとpHを予測できる有機物分解モデルへ拡張する.
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