2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multi-functional vaginal sensor and machine learning algorithms for real-time evaluation of reproductive function in cattle
Project/Area Number |
20H03111
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉岡 耕治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 研究領域長 (20355192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 浩尚 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20574940)
檜垣 彰吾 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (70595256)
櫻井 玲奈 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 研究員 (50849742)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発情検知 / 授精適期 / 腟内pH / ウェアラブルセンサ / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
繁殖雌牛の効率的利用および子畜増産のためには、受胎率の向上と分娩後の適切な時期に受胎させることによる分娩間隔の短縮が強く望まれている。本研究では、1)腟温および腟内pHを連続計測可能な無線小型多機能腟内センサを開発する。2)開発した多機能腟内センサを用いて牛の発情周期における腟温および腟内pHの変動を調べ、ホルモン動態や発情発現、排卵と関連付けて解明する。とくに、発情前後の特徴量の変動を機械学習法により解析し、センサデータから授精適期を判定するアルゴリズムを開発する。3)センサデータと人工授精後の受胎性を解析し、妊娠成立に関連付けられる特徴量を抽出して「妊娠しやすい牛」を予測する技術の開発を行う。以上により、ウェアラブルセンサと機械学習によるリアルタイム生殖機能評価法を開発して、新規繁殖障害予防システムの構築を目指す。 2020年度は、腟温と腟内pHを計測する多機能腟内センサを開発した。正常な発情周期を営む牛の腟内に留置して腟温および腟内pHセンサデータを収集し、発情発現ならびに血中性ホルモンとの関連を統計学的に解析したところ、腟内pHの前3日間の同時刻平均に対する差(腟内pH残差)は主席卵胞の発育と血中エストラジオール濃度の上昇に伴い低下し、黄体期の値と比較して排卵63時間前~13時間後には有意に低値を示したのち上昇した。また、発情は排卵32.5 ± 5.5~12.3 ± 2.9時間前まで観察された。さらに、各個体のLHサージのピーク、腟温残差の最大値および腟内pH残差の最小値は、それぞれ排卵24.1 ± 1.6時間前、排卵22.3 ± 6.1時間前および排卵25.9 ± 26.1時間前に観察された。多機能腟内センサを用いて腟温および腟内pHを連続的にモニタリングすることにより、発情の検知や排卵時期の予測を行って授精適期を判定できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿い、腟温と腟内pHを計測する多機能腟内センサを開発し、正常な発情周期を営む牛の腟内に留置して腟温および腟内pHセンサデータを収集した。この多機能腟内センサを用いて腟温および腟内pHを連続的にモニタリングすることにより、発情の検知や排卵時期の予測を行って授精適期を判定できる可能性が示されたことから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、腟温および腟内pHのセンサデータから種々の特徴量(30個程度を予定)を算出する。また1頭分を除外したデータを教師データ(発情期を正例としてラベル付けした)として、機械学習法(ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークを予定)を用いて、発情検知可能なモデルを作成する。次に、除外しておいた個体のデータを試験データとして機械学習モデルで発情検知を行う、ということを頭数分繰り返し(Leave-one-out法)、適当な特徴量の選択やハイパーパラメータの調整により、実際の発情と比較して各モデルの感度と精度を算出することで至適な発情検知モデルを作成する。得られた結果は学会発表を行う。さらに、排卵前6~18時間前あるいは排卵前6~24時間前を授精適期の正例としてラベル付けして、上記の機械学習法に修正・改良を加え、授精適期を検知可能なモデルの作成を試みる。
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