2022 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺の小胞体ストレス応答機構に着眼した泌乳制御機序解明と泌乳平準化研究への新展開
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20H03126
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
米倉 真一 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (40443113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 聡 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (90442748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス応答 / 乳腺上皮細胞 / 乳牛 / 脂肪酸 / ミルク脂肪球 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳量の制御に関わる乳腺上皮細胞内機構を解明することを目的として研究を推進してきた。初年度において、乳量減少に関わる乳腺上皮細胞死は、PERK-CHOP経路が関与しており、さらに飽和脂肪酸がこの経路を活性化し、アポトーシスを誘導することを明らか にした。一方、乳量上昇に関わる「小胞体拡張」においては、IRE1-XBP1経路が関与していることを見出した。2年目においては、短鎖脂肪酸はIRE1-XBP1経路を活性化させ小胞体の生合成を高める働きも有することを見出した。3年目においては下記の点を明らかにした。短鎖脂肪酸と不飽和脂肪酸は、乳腺上皮細胞の小胞体の生合成を高める働きも有するが、不飽和脂肪酸は脂肪滴形成も促進することを明らかにした。一方、短鎖脂肪酸の刺激において脂肪滴の形成は認められなかった。よって、共に小胞体の生合成を高めるが、短鎖脂肪酸は小胞体拡張を、不飽和脂肪酸は脂肪滴形成に伴う小胞体生合成が促進されていることが考えられた。ミルク中の脂肪球は、体内の乳腺上皮細胞の遺伝子発現量を反映していることが知られている。よって、分娩後に急激な泌乳量の増加を示した5頭(高ピーク群)と、一方で示さなかった5頭(低ピーク群)の分娩後30日目のミルク脂肪球における遺伝子発現を比較検討した。その結果、UPR関連遺伝子、小胞体生合成関連遺伝子においては、両群間で発現量の有意な差は見られなかったが、脂質代謝関連遺伝子のうち、DGAT2について、高ピーク群での発現量が低ピーク群でのそれと比較して有意に減少していた。よって、乳量と乳腺上皮細胞における脂質代謝との間に関連性があることが示唆された。ただ分娩後30日目では、泌乳曲線がプラトーに達していたため、乳生産量の増加を制御する遺伝子の発現変化は、分娩後30日目より以前に生じると考えられるため、分娩後30日目より早期のサンプルを解析することが重要となる。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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