2020 Fiscal Year Annual Research Report
最終糖化産物がウシ子宮、卵管および胚発育に及ぼす影響とその作用機序の解明
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20H03129
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松山 秀一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50455317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (50355070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メチルグリオキサール / 牛 / 子宮 / 卵管 / 低受胎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高穀物含量の飼料によって産生されるメチルグリオキサール(MGO)が乳牛における受胎率低下の一因となっていることを検証する。まず、血中MGOが牛の受胎性に及ぼす影響を明らかにするため、ホルスタイン経産牛(n=110)の血中MGO濃度、月齢およびBCSと受胎成績との関係についてロジスティック回帰分析により検討した。その結果、人工授精時の血中MGO濃度と受胎成績に直接的な関係は認められなかった。今後は、人工授精以前の血中MGOを継続的に測定し、受胎性との関連を検討することとした。本年度は、次に、MGOが牛子宮内膜細胞に及ぼす影響を検討した。牛子宮内膜上皮細胞および子宮内膜間質細胞の培養液中にMGO(0.1 mMまたは1 mM)を添加し、6、12または24時間後に細胞を回収して、細胞障害性、細胞増殖率、老化細胞の割合を算出した。子宮内膜上皮細胞ではMGO添加による変化がみられなかった。一方、子宮内膜間質細胞においては、MGO添加後6、12および24時間後の各処置区で、MGO 1 mMを添加した場合の傷害性が対照区と比較して有意に増加し、増殖率は対照区と比較して有意に減少した。また、MGO添加後12時間の処置区で、MGO 1 mMを添加した場合の細胞老化率が対照区と比較して有意に上昇したことから、MGOが牛子宮内膜間質細胞の細胞老化を誘導することが示唆された。さらに、MGOが牛生体の子宮内膜に及ぼす影響を検討するため、穀物含量の高い飼料を給与されていない肉用牛を用いて、発情行動を確認した翌日にMGO溶液(5 mM)を各子宮角内に25 mLずつ投与した。MGOを投与した6日後にバイオプシー鉗子を用いて子宮内膜組織を採取し、DNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、対照群と比較してMGO投与群で高発現となった16遺伝子、低発現となったのは6遺伝子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、当初予定されていなかった子宮内へのMGO単回投与が子宮内膜に及ぼす影響を検討する実験を行ったため、MGOの静脈中への長期投与が子宮内膜に及ぼす影響を検討する実験が未実施となっているものの、乳牛の受胎成績と血中MGO濃度の関連を検討する実験やMGOが子宮内膜細胞の生存性、増殖性、細胞老化に及ぼす影響を検討する実験については、当初の予定どおり実施できており、おおむね順調に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、MGOの静脈中への長期投与が子宮内膜に及ぼす影響について検討する実験を進めるとともに、MGOが卵管細胞や胚発生に及ぼす影響を検討する。また、MGOが子宮内膜細胞の細胞老化を誘導する機序についても検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)