2021 Fiscal Year Annual Research Report
最終糖化産物がウシ子宮、卵管および胚発育に及ぼす影響とその作用機序の解明
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20H03129
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松山 秀一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50455317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康二 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (50355070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メチルグリオキサール / 牛 / 子宮 / 卵管 / 低受胎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高穀物含量の飼料によって産生されるメチルグリオキサール(MGO)が乳牛における受胎率低下の一因となっていることを検証する。本年度は、牛子宮内膜細胞において、培養液へのMGOの添加により細胞老化のマーカーであるp21遺伝子発現が有意に増加し、子宮内膜間質細胞におけるROS産生量も有意な増加が認められた。以上の結果から、牛子宮内膜間質細胞においてMGOがROS産生を亢進することでDNA損傷を引き起こし、p21などのサイクリン依存性キナーゼ阻害因子の発現を誘導することで細胞周期を停止させ、細胞老化を引き起こす可能性が考えられた。さらに、MGOの9日間にわたる静脈内投与(2時間/日)が牛生体の子宮内膜におけるp21遺伝子発現に及ぼす影響を検討した結果、MGO長期投与後の子宮内膜組織におけるp21 mRNA発現量は投与前と比較して増加する傾向がみられた。このことから、牛へのMGOの長期投与が子宮内膜における細胞老化を誘導することが示唆された。次に、MGOが牛卵管上皮細胞に及ぼす影響を検討した。MGOを添加した卵管上皮細胞におけるROS産生量は有意に増加し、卵管上皮細胞の増殖能は有意に低下した。一方、卵管上皮細胞におけるp21 mRNA発現量についてはMGO添加による変化は認められなかった。これらの結果から、牛卵管上皮細胞において、MGOはROSの発生を促進し、酸化ストレスに伴って生じるアポトーシスが、細胞増殖に影響を与えることが示唆された一方で、細胞老化には関与しない可能性が示された。また、MGOが胚発育に及ぼす時期と影響についても検討を行った。卵子の体外成熟時と比較して体外受精時にMGOを添加した場合の8 cell発生率が著しく低下したことから、MGOは胚の体外受精の段階で作用する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、ROSのインヒビター添加実験等のMGOが細胞老化を誘導する機序を解明する実験が一部未実施となっているものの、MGOの静脈中への長期投与が子宮内膜に及ぼす影響を検討する実験やMGOが子宮内膜細胞のROS産生および細胞老化に及ぼす影響を検討する実験については、当初の予定どおり実施できており、おおむね順調に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、MGOの静脈中への長期投与が子宮内膜に及ぼす影響、およびMGOが卵管細胞や胚発生に及ぼす影響等について引き続き検討を進める。また、ROSのインヒビター添加実験やNF-κB p65の細胞核内での発現解析、サイトカイン分泌量の測定等、MGOが子宮内膜細胞の細胞老化を誘導する機序についても検討を行う予定である。MGOが胚発育に及ぼす時期と影響の検証についても、胚の体外培養時のタイミングでのMGO添加実験が未実施であるため、令和4年度中に行う。
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