2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation and evaluation of the colostral molecules that initiate the development of newborn piglets
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20H03132
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
井上 亮 摂南大学, 農学部, 教授 (70443926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 淨教 香川大学, 農学部, 准教授 (30739206)
野口 倫子 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (40506721)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブタ / 初乳 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は子豚の生育を惹起する初乳成分を絞り込むべく、凍結初乳、乳清を新生子豚に給与し、新鮮初乳摂取時との小腸上皮細胞、肝臓への影響の違いを検討した。ただし、凍結初乳、乳清の量の確保が困難であることから、摂取24時間の影響ではなく、摂取9時間で解剖を行った。また、乳清は超遠心分離を行うことで、固形成分をほぼ完全に除いたものを使用した。 その結果、小腸上皮細胞に関しては、新鮮初乳と凍結初乳、乳清で同様に空胞化が認められ、絨毛の伸長も認められた。肝臓については、摂取後の時間が9時間と短時間であったため、新鮮初乳であっても重量や組織切片上では大きな変化は認められなかった。血中の抗体濃度に関しては、新鮮初乳の方が、凍結初乳や乳清に比べて高値を示す傾向がみられた。 本試験は、異なる時期に複数の腹を使って行ったが、多少の傾向の違いはみられるものの、どの腹でも同様の傾向が認められたので、試験としての再現性は担保できていると考えられる。 以上から、抗体濃度の減少傾向が示唆するように、凍結したり、乳清に分離したりすることで、免疫に関するタンパク質は低下するが、子豚の生育を惹起する成分に関しては顕著な変化しない可能性が考えられる。また、肝臓に関しては現在遺伝子発現を解析中ではあるが、小腸に関しては乳清でも生育惹起効果が認められたことから、本研究の目的とする成分は乳清中に含まれることが強く示唆される。さらに、凍結初乳や乳清は子豚自身の母親由来の初乳ではないため、この生育惹起効果は自身の母親の初乳でなくても初乳さえ摂取すれば得られると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の腹を使った実験にて、子豚の生育を惹起する成分が乳清含まれることがわかったという点で、進捗は順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は凍結初乳、乳清と新鮮初乳の肝臓への影響の違いを遺伝子レベルで解析・比較する。また、小腸上皮細胞に関しても遺伝子レベルで影響を確認し、どういった生物学的パスウェイが空胞化や絨毛の伸長に関わっているのかを検討する。
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