2020 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞を持たないニワトリ開発による家禽生殖工学基盤技術の確立
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20H03135
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大石 勲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50314472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迎 武紘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40803309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニワトリ / 生殖細胞 / 遺伝子組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリは優れたモデル実験動物であり、世界有数の産業動物でもある。このため、学術利用や品種改良を目的としたニワトリ遺伝子改変技術や遺伝資源保存・利用を可能にする生殖工学技術の開発が強く望まれている。ニワトリの遺伝子改変や生殖工学は困難とされてきたが、近年ニワトリ初期胚血液由来の始原生殖細胞をドナー細胞としてレシピエント胚に移植後キメラ個体内で配偶子分化させ、後代にドナー由来個体を得る方法が開発されている。一方、本法の課題としては移植したドナー由来の配偶子寄与率がキメラの生殖巣で十分高くならない場合があり、解決が求められている。本研究課題では遺伝学的手法により生殖細胞を持たないニワトリを開発し、これをレシピエントとすることで家禽生殖工学の新たな基盤技術を確立することを目指している。具体的には2系統の組換えニワトリを作出後、これらを交配することで生殖細胞特異的に細胞死を誘導する。本年度は2系統のベクターを構築し、それぞれをニワトリ始原生殖細胞に安定導入後初期胚移植によりキメラニワトリを樹立した。これまでに合計26羽のキメラニワトリを樹立し、8羽を選抜して飼育している。これらニワトリについて、性成熟を待って配偶子におけるキメラ率を導入遺伝子に対するqPCRによって推定し、高いドナー寄与率の個体をfounderとして野生型ニワトリと交配する。これにより、目的とする2系統の遺伝子組換えニワトリの作出を見込んでいる。計画通りに研究が進捗すれば、ドナー寄与率100%を実現するレシピエントが得られると予想され、希少品種ニワトリ遺伝資源の保全やニワトリ品種改良、ニワトリ遺伝子操作の高効率化などに大きく貢献が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であったベクターの構築、システム稼働のin vitroでの検証、始原生殖細胞への導入、移植と生殖巣キメラの作出の全ての項目を実現したため。
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Strategy for Future Research Activity |
作出した生殖巣キメラニワトリを検定後、交配によりトランスジェニック後代を樹立する。樹立後代を性成熟させこれらを交配することで所期の生殖細胞欠損胚の作出を試みる。胚の解析後、これをレシピエントとした各種移植実験により、次世代のニワトリ生殖工学技術の開発を目指す。
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Research Products
(2 results)