2021 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系前駆細胞の老化を基軸とした炎症性筋疾患の新規病態進行機序の解明
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20H03161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 啓太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70272440)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋再生 / 細胞老化 / 筋前駆細胞 / 間葉系前駆細胞 / 筋ジストロフィー / ラット / 舌 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性筋疾患であるヒトデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の病態を反映するDMDラット骨格筋では細胞老化因子p16の発現を伴う間葉系前駆細胞の早期細胞老化が生じており、これが筋再生を抑制する可能性が示されている。昨年度までにDMDラットでp16を欠損させると後肢筋の病態が改善することを見出した。ヒトDMDでは筋肥大による巨舌が見られ、摂食障害を引き起こすとされている。そこでDMDラットの舌筋について解析を行ったところ、ヒトDMDと同様に巨舌を呈すること、さらに興味深いことに、DMDラット舌筋では後肢筋にくらべて壊死の程度が著しく低く、細胞老化も生じていないことが判明した。さらに筋前駆細胞である筋衛星細胞も比較的保たれていた。この結果は、ジストロフィン遺伝子欠損に抵抗する筋が存在することを示しており、今後のDMD病態進行機序を考える上で有力な新知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
途中、若干の遅れはあったものの当初の計画通りの進捗がみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度までの研究成果を受けて、細胞老化をおこした間葉系前駆細胞がどのような機序により筋前駆細胞の再生能を低下させるか、ジストロフィン遺伝子欠損に抵抗する筋とその他の筋との違いについて追求する予定である。
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