2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring the molecular mechanism of GTP-driven stress response system
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20H03165
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 敦朗 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任教授 (80620385)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GTP / がん代謝 / p53 / トランスクリプトーム / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに多層的オミックス解析により取得したデータから、GTP濃度依存に変動する遺伝子群についての解析を行った。用いた細胞はGTPセンサーキナーゼであるPI5P4Kβの野生型を発現している細胞、そしてGTP感知機能を喪失した変異体を発現しているアイソジェニックな細胞を用いた。 GTP濃度低下において20分から24時間までの6つのタイムポイント;0 h, 20 min, 40 min, 1h, 2 h, 4h, 24 h -で発現変動する遺伝子群について、早期変動遺伝子(e.g., 20 min, 40 minから変動)、やや遅れて(e.g., 2時間、4時間後)変動する遺伝子、変動に時間がかかる遺伝子群(e.g., 24 h)のカテゴリーに分け、さらに発現が上昇するもの、低下するもの、一度上昇し低下するもの、一度低下し上昇するものなどパターンにより分類を行ったRNAシーケンスおよびCAGEシーケンス解析のデータを取得しているが、まずはRNAシーケンスにより得られたデータを用いた。クラスタリング解析を行った結果、WTの細胞と変異型PI5P4Kβを発現している細胞においては、遺伝子発現パターンが初期から異なっていること、そしてその違いはGTP低下により徐々に少なくなり、24時間後には同じクラスターに入ることが分かった。このようなGTP濃度低下によるグローバルな遺伝子発現変化はPI5P4Kβとは独立して起こることが示唆された。一方で、各タイムポイントごとにみていくと、これらの遺伝子発現の変動のキネティクスに野生型と変異型細胞で顕著な違いがあることが分かってきた。野生型の細胞において起こる遺伝子発現変動は、変異型細胞においては遅れて起こることが示された。GTP感知機能がGTP濃度による遺伝子発現調節の即時性に重要なことを示唆する結果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画にあるようにトランスクリプトームによるデータの取得とそのデータ解析について大きく進展した。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回構築した遺伝子発現解析のフレームワークを用いて、CAGEシーケンスにより得られた遺伝子群についても解析を行っていく予定である。RNAシーケンスとCAGEシーケンスの両解析によりRigorousな検証ができることが期待される。さらに、CAGEシーケンスにおいては、転写開始点についての情報が得られる。そこでGTP濃度の変動により転写開始点が変化しうるかについても検証を行っていく。影響を受ける遺伝子がある場合は、それらのゲノム上の位置や転写開始点近傍のDNA配列の情報をもとにメカニズムについてモデルを立てていく。平行してプロテオームとメタボロームのデータについての統合的な解析についても準備し進めていく予定である。
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