2021 Fiscal Year Annual Research Report
The study of progenitor dedifferentiation in mouse testis
Project/Area Number |
20H03168
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
鈴木 伸之介 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 特任助教 (00755994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 培養系 / シングルセル / クロマチン動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者のin vivoの解析から80%のマウス精子幹細胞 (SSCs: Spermatogonial Stem Cells)は非分裂期にあることや、SSCsへと脱分化することが報告されている分化の進んだ前駆細胞(progenitor)の中でも前期Progenitorのみが、SSCsへと脱分化する可能性が強いことも明らかにしている (Suzuki S et al., 2021, Cell reports)。本研究では、精巣内のProgenitorで生じるSSCsへの脱分化誘導メカニズムの全貌解明を目的としている。しかし、一昨年度に行った蛍光レポーターマウスの解析から、予定していたレポーターマウスでは、本研究の目的が果たせないことが判明した。そこで、新たなレポーターマウスを昨年度作出した。また代表者が確立したSSCsのin vitro分化系において、単一細胞レベルの遺伝子発現解析を継時的に行った。その結果、このin vitro分化系は均一なSSCsから出発し、段階的に同調しながら後期Progenitorへと分化誘導されていることが明らかとなった。さらに変動遺伝子解析から、分化誘導後に活性化することが推測されたシグナル伝達経路に着目し、In vitro分化系において、抑制剤の効果を調べた。その結果、分化の抑制が観察され、少なくともin vitro分化系においては、推測したシグナル伝達経路は、分化の促進に寄与していることが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルスの影響により、一時研究に遅れが見られたが、単一細胞レベルの遺伝子発現解析がスムーズに進み、少なくともIn vitro実験系においては、SSCsの分化もしくは脱分化を制御する新たなシグナル伝達経路が同定できた。一方でこの結果がin vitroで特異的な可能性はまだ否定できないため、生体の解析を今後進めていく。また、一昨年度に解析し、報告したDppa3プロモーターを利用したレポーターマウスの精巣における結果(Suzuki S et al., 2021, Reproduction)が、2021年の年間最優秀論文賞を受賞し、招待公演を行った。残念なことにコロナウィルスの影響で現地での発表は叶わなかったが、オフラインにも関わらず非常に活発な議論ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなレポーターマウスの作出および導入が本年度達成できたため、今後は2種類のレポーターマウスの精巣における特性解析を進めていく。また、in vitro分化系で同定したシグナル伝達経路の抑制が、精巣内のSSCsやProgenitorへどのように影響を与えるかを免疫蛍光染色やタイムラプスイメージングにより、評価する。
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