2020 Fiscal Year Annual Research Report
染色体末端テロメア/サブテロメアの機能・構造維持メカニズム
Project/Area Number |
20H03185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 純子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10323809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 染色体 / クロマチン / テロメア / サブテロメア |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に真核生物は、遺伝情報であるDNAを含む線状染色体をもつ。線状染色体の末端には「テロメア」と呼ばれるドメインが存在し、生命維持に重要な役割を果たしている。そして、テロメアに隣接して「サブテロメア」と呼ばれるドメインが存在する。本研究では、なぜ環状化染色体をもつ細胞は死にやすいのか?その細胞が死ぬ際、細胞内で何が起こっているのか?染色体末端の存在が細胞増殖のどの場面で重要なのか?サブテロメアの特殊なクロマチン構造はどのように形成されるのか?サブテロメアの範囲はどのように決定されているのか?を明らかにすることにより、染色体末端構造の役割を解明する。そこで、染色体の本数が極めて少なく、染色体末端の研究に非常に有利な分裂酵母を用いること により、様々な遺伝学的解析を駆使して染色体末端ドメイン構造の未知なる機能や制御メカニズムを明らかにする。 そこでまず、サブテロメア領域の範囲はどのように決定されているのか?というテーマに取り組んだ。サブテロメアは凝縮したクロマチン構造を形成するため、そのクロマチンが無秩序に広がってしまうと様々な遺伝子発現に影響を及ぼす。したがって、サブテロメアの領域は厳密に維持されなければならない。そのメカニズムを探るため、サブテロメアに隣接する部位(セントロメア側)に2種類のマーカー遺伝子を挿入し、それらの遺伝子発現がヘテロクロマチンの流出によって抑制される変異株、すなわちバウンダリーに異常を示す変異株を複数単離した。次世代シークエンサーによってそれらの変異株の原因遺伝子を同定し、その遺伝子の機能について詳しく解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的であるサブテロメアクロマチンのバウンダリー変異株を取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、バウンダリー変異原因遺伝子の詳しい機能解析を行うとともに、knob形成のメカニズムについても解析を進める。
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