2021 Fiscal Year Annual Research Report
染色体末端テロメア/サブテロメアの機能・構造維持メカニズム
Project/Area Number |
20H03185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 純子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10323809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 染色体 / クロマチン / テロメア / サブテロメア |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に真核生物は、遺伝情報であるDNAを含む線状染色体をもつ。線状染色体の末端には「テロメア」と呼ばれるドメインが存在し、生命維持に重要な役割を果たしている。そして、テロメアに隣接して「サブテロメア」と呼ばれるドメインが存在する。本研究では、なぜ環状化染色体をもつ細胞は死にやすいのか?その細胞が死ぬ際、細胞内で何が起こっているのか?染色体末端の存在が細胞増殖のどの場面で重要なのか?サブテロメアの特殊なクロマチン構造はどのように形成されるのか?サブテロメアの範囲はどのように決定されているのか?を明らかにすることにより、染色体末端構造の役割を解明する。そこで、染色体の本数が極めて少なく、染色体末端の研究に非常に有利な分裂酵母を用いることにより、様々な遺伝学的解析を駆使して染色体末端ドメイン構造の未知なる機能や制御メカニズムを明らかにする。 これまでの研究成果より、Sgo2がサブテロメアのKnob構造形成に必須であることがわかっている。しかし、Sgo2の具体的な作用機序は不明であった。そこで、Sgo2の上流や下流で働く因子、あるいはSgo2とは独立にKnob形成に関与する因子を網羅的に同定するため、異なる染色体腕のKnob領域にマーカー遺伝子を挿入した株を作製し、ランダムにゲノム変異を誘発して、Knob形成異常によりマーカー遺伝子の発現が異常になったと思われる変異株の取得に成功した。得られた変異株の中で特に強い表現型を示したものとして、nts1+遺伝子の変異株が複数同定された(未発表)。Nts1はClr6を中心としたHDAC複合体のComplex 1”に含まれるタンパク質である。Nts1は少なくともヒストンH4の脱アセチル化に関与しており、Knob形成にはH4の脱アセチル化以外に、H3K36メチル化、H2AS121リン酸化の3つが重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテロメアの特殊なクロマチン構造形成に関与する因子を同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、サブテロメアヘテロクロマチンのバウンダリー機構の解明、線状染色体の構造の意義について解析を進める。
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