2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H03206
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長谷川 純矢 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (00533788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 飛鳥 東北大学, 薬学研究科, 教授 (50525813)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / リゾリン脂質 / Gタンパク質共役受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、申請者らが見出した新規リン脂質LysoPIPsの生理的、病態生理的機能の解析を実施する。当該年度には、前年度に見出したLysoPIPsの生成に関与するホスホリパーゼA(PLA)の安定発現細胞株、もしくはノックアウトがん細胞株を作製し、そのがん細胞特性の検証を行った。前立腺がん細胞株DU145細胞に、あるPLA分子をノックアウトした際、その細胞の移動能、浸潤能の著しい低下が認められた。また、DU145細胞にLysoPIPsを処理すると、細胞移動能の亢進が認められたことから、DU145細胞はLysoPIPsに応答しがん細胞特性を発揮していることが強く示唆された。今後はより詳細ながん細胞特性の検証を行うとともに、別に見出しているPLA分子のノックアウト細胞も作製する予定です。 LysoPIPsは我々が発見した新規リン脂質であるため市販されていない。申請者は作製方法を考案し、現在純度の高いLysoPIPsを精製することに成功している。この精製したLysoPIPsを用いて研究分担者とともに、前年度はLysoPIPsの一つであるLysoPIP3をリガンドとするGタンパク質共役型受容体(GPCR)約150種類のスクリーニングを実施した。その結果、1つの受容体に高い反応性 を示すことが分かった。当該年度は、残りの100受容体に関して同様な方法でスクリーニングを行ったところ、1つの受容体に特異的に反応することを見出した。これでLysoPIP3に反応する受容体は計2見出したことになる。現在、同定した受容体の機能解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LysoPIPsを生成するPLAのノックアウトがん細胞作製により、そのがん細胞の移動能および浸潤能が著しく低下することを見出した。さらに前年度に引き続き、分担者が構築したGPCRスクリーニング系を用いて、残り100受容体についてスクリーニングを行い、これで分担者が保有するGPCR遺伝子全てのスクリーニングを終えたことになる。スクリーニングを期間内に終了させ、LysoPIP3に反応するGPCRを幾つか同定できたことは、当該課題が順調に進んでいることを意味している。最終年度は、見出したGPCRの生理的・病態生理的機能解明に尽力する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、同定したPLAの安定発現細胞株やノックアウト細胞株を作製し、がん細胞特性に関して検証する。GPCRスクリーニングで見出したLysoPIPsの受容体に関して、基礎的なデータ(例えば、濃度依存性など)を収集するとともに、受容体のノックアウト細胞を作製することで、生理的・病態生理的機能の解明を行う。
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Research Products
(8 results)