2022 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン依存性タンパク質分解により制御される生命現象の解明
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20H03208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
嘉村 巧 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40333455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン・プロテアソーム系を介したタンパク質分解は、細胞周期進行やシグナル伝達 など多岐にわたる生命現象に重要な働きを果たしている。現在までの精力的な研究により生 体内に非常に多くのE3が存在し、基質特異性を決める役割を果たしていることが明らかにな っている。この分野の課題は多数存在するE3の標的タンパク質を同定しその生理的意義を明らかにすることであるが、技術的困難さのためあまり進んでいないのが現状である。最近我々は、質量分析法を用いて、出芽酵母短寿命タンパク質Mmr1に対するE3ユビキチン修飾酵素Dma1/Dma2を同定し解析を行った。その結果として細胞内小器官のミトコンドリアが新しい細胞に遺伝する際の仕組みを発見した。ミトコンドリアが積み荷としてモータータンパク質ミオシンによって母細胞から娘細胞に運ばれた後に、ミオシンとミトコンドリアを繋ぎ止めている留め具タンパク質Mmr1が積極的に壊されることで、ミトコンドリアがミオシンから解放されて自由に動き回ることを明らかにした。留め具タンパク質Mmr1の分解が起こらないと、ミトコンドリアの分布や形態さらには働きに異常が生じて、有毒な活性酸素が多く産出されることも分かった。これらは、タンパク質を積極的に分解する「プロテオリシス」の新しい役割として注目すべき発見である。この仕組みによって、出芽酵母は増殖して新しい細胞を生み出す際にミトコンドリアを正常に遺伝させていると考えらる。本研究によって、細胞内で様々な積み荷を降ろす過程で留め具タンパク質の分解を起こっているか否かを検証する研究が惹起されると考えられる。また、ミトコンドリアをはじめとした細胞小器官の輸送や分布の異常に伴う疾病の原因解明や創薬が進むこと期待される。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)