2020 Fiscal Year Annual Research Report
Asymmetric electron transfer in photosynthetic reaction centers
Project/Area Number |
20H03217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石北 央 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00508111)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工光合成 / 電荷分離 / 水分解酸素発生 / プロトン移動 / 電子移動 / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
PbRC, PSIIにおける不活性側の電子移動経路に関しては、そもそも電子移動が起こらないため、実験的手法ではコファクターの性質を明らかにすることが困難である。本研究では、PbRC、PSIIにおける電荷分離反応がなぜ片方の電子移動経路のみ優先的に起こるか、蛋白質結晶構造に基づいた理論化学計算によって解析した。結晶構造の座標さえあれば、蛋白質分子内のクロロフィル等を解析できるため、(実験では直接測定不可能な)不活性側の電子移動経路のエナジェティクスも明らかにすることができた。既存の研究の多くは、物理化学的数値を測定・算出はしているものの、その先の「蛋白質分子内のどの部位・どの因子の大きな寄与によってその値が決まっているか」といった問いまで掘り下げておらず、したがって、蛋白質機能と分子構造の対応が紐付けされていない。本研究では、単に数値をはじき出して終わりにするのではなく、その先の蛋白質環境(例:着目すべき部位周辺のアミノ酸残基の側鎖・主鎖、コファクターの酸化還元状態、水分子、水素結合ネットワーク、揺らぎの程度、誘電率、溶媒和の有無という意味での疎水性)といった相互作用部位を具体的に明示した上で、エナジェティクスを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PbRC、PSIIにおける電荷分離反応がなぜ片方の電子移動経路のみ優先的に起こるか、蛋白質結晶構造に基づいた理論化学計算によって解析した研究結果に関して、10報以上の査読付き論文発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「サイトエナジーの低いクロロフィル(initial donor)の同定」 【意義】サイトエナジー(オンサイトポテンシャル)の低いクロロフィルが励起され、そこから電子移動が開始するためそのサイトの同定は極めて重要である。励起サイトがPL/PMやPD1/PD2のようにC2対称軸上にあるのか(電子移動経路対において対称な位置)、あるいはBLやChlD1のように対称軸外に存在するのか(電子移動経路対において非対称な位置)で、その後の電子アクセプターとなる候補は左右されるので、電子移動活性の非対称性は、半分ここで決まっていると言ってもよい。【手法】TDDFT-QM/MM計算
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Research Products
(11 results)