2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of R-Ras function as a signaling hub
Project/Area Number |
20H03256
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
生沼 泉 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (40452297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / R-Ras / インテグリン / 細胞接着 / 神経軸索 / GEF / GAP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、R-Rasによる細胞接着因子受容体、インテグリンの活性化の分子機構を生化学的・分子生物学手法を用いて同定し、その上で、同定した分子が細胞接着依存的な神経突起伸長に関わっているのかを海馬初代培養神経細胞を用いて検討している。R-Rasは細胞が浮遊状態にあるときには活性が低く、細胞が細胞外マトリックスに接着し、インテグリン刺激が入ると活性化され、また、この接着刺激により活性化されたR-Rasが逆に細胞内シグナルを流し、インテグリンを物理的に活性化構造にし、インテグリンが細胞外マトリックスリガンドに結合しやすい分子構造を引き起こすことで、さらなる細胞接着・運動を促進するという正のフィードバック機構が存在することを、われわれはこれまでに明らかにしている。これらから、最も基本的で普遍的な細胞機能の1つである細胞接着において、R-Rasを介した増幅機構が存在すると考えられるが、その分子機構は不明であった。 本研究期間において、1)R-Rasによるインテグリン活性化機構の解明、および 2)接着刺激によるR-Rasの活性化機構を検討した。1)および 2)双方の目的のために、アプローチとして、関与する分子の同定のためにR-Rasに結合する分子をin silicoでの結合分子探索や、アフィニティーカラムおよび質量分析法などを用いてスクリーニングした。 現在、得られている分子に関して順次、海馬初代培養系や株化神経モデル細胞系を用いて、過剰発現系およびノックダウン・CRISPR/Cas9システムを用いたノックアウト系を活用し、関与の検証を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補分子のスクリーニングが完了し、実際の細胞内の機能を確かめていく段階に進むことができる状況に至っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞に接着刺激が入るとR-Rasが活性化されるが、これまでにR-Rasに特異的な活性化因子、GEFは同定されていない。DNA配列データベースを活用し、GEFとして働くドメイン構造を持つ候補分子をターゲットとしたsiRNAライブラリーを作成し、逐次ノックダウンあるいはCRSPR/Cas9システムによるゲノム編集によりノックアウトさせていくことにより、接着後ごく初期の段階でのR-Ras活性化や細胞進展が阻害されるかを指標にスクリーニングを行い、細胞接着依存的にR-Rasを活性化するのに必要な、新規の活性化分子の同定を進める。さらに、同定した分子の活性や局在がガイダンス因子刺激で変化するかを生化学的手法およびライブイメージングで検証する。イメージングの際に、蛍光標識タンパク質の外来発現系では細胞形態そのものが変化し、正味の局在の議論が困難な分子の場合には、内在分子の局在を追うために、分裂終了後の神経細胞でのCRSPR/Cas9システムを用いた「体細胞ゲノム編集」により、蛍光レポーターのknock-inを行うことで、可能な限り内在の分子局在を追いかける。
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Research Products
(2 results)