2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of R-Ras function as a signaling hub
Project/Area Number |
20H03256
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
生沼 泉 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (40452297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / R-Ras / TC21 / 神経回路 / 樹状突起 / フィロポディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、R-Rasサブファミリー低分子量Gタンパク質の細胞形態調節における役割およびその分子メカニズムを解くことを目的として設定している。R-Rasサブファミリーに属する低分子量Gタンパク質のうちで、海馬および大脳皮質に高く高く発現が見られたTC21について、解析を進めた。R-Rasサブファミリー低分子量Gタンパク質のうち、R-Ras(R-Ras1)は主に、軸索伸長期に高い発現が見られ、活性が高く維持されており、M-Ras(R-Ras3)は樹状突起伸長期に高い発現が見られ、活性が高く維持されているのに対比して、TC21(R-Ras2)は樹状突起が分岐しシナプス形成をする時期に高い発現が見られてていた。初代培養海馬神経細胞を対象にさらに発現パターンを詳細に解析すると、樹状突起フィロポディアの萌出時期に最も発現が高く維持されていた。そのため、シナプス形成におけるTC21の役割の解析を解析した。各種shRNA-mediated knockdownおよびCRISPR/Cas9-meditated knockoutにより、神経細胞内在性のTC21の欠失でフィロポディア形成およびその後のPSD95-positveなスパイン形成が阻害されていた。さらに、TC21に対するペプチド抗体を作成し、その評価を行い、感度および特異性の確認を完了した。ラット成体脳からシナプス画分を抽出し、ウエスタンブロット法を行ったところTriton可溶性の画分にTC21が濃縮されていていた。また、免疫組織化学的解析を行ったところ、大脳の中では、海馬に強い発現が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで作製に苦難しており懸案の1つであった、TC21に対するペプチド抗体を得ることができ、今後の研究の展開が期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたる今後は、研究計画記載通りに、これまで2年間の研究で得られた各R-RasサブファミリーGタンパク質に関する細胞レベルで得られた知見を組織あるいは個体レベルの研究に展開させる。具体的には、現在、各々のR-RasサブファミリーをCRISPR法でノックアウトさせた動物を作出中であり、的確なノックアウトが確認された動物が獲られ次第、順次、脳神経回路構築に与える影響を組織化学的に解析を進める。また、併行して、子宮内エレクトロポレーション法を用いた各々のR-Rasサブファミリーの組織および時期限局的なノックダウン・ノックアウトを行っており、2年間の研究で得られた下流のエフェクター分子との機能連関の解析を進めていく。また、我々は既に、CRISPR法を用いた神経細胞内在性のタンパク質のtag付けによる可視化の技術系を構築済みであり(Molecular biology of the cell 30(22) 2838-2855 2019年10月、Scientific Reports 2019(9) 11309 2019年8月)この技法を用いて、各R-RasサブファミリーGタンパク質および下流のエフェクター分子の蛍光tag付けを行うとともに、培養神経細胞あるいは組織培養切片を観察対象としたライブセルイメージングに挑戦する。
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