2021 Fiscal Year Annual Research Report
上皮形態形成における組織形状と細胞分化の調和機構の解明
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20H03258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 武史 京都大学, 生命科学研究科, 特定講師 (60565084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 上皮形態形成 / 細胞運命決定 / 形態形成フィードバック / 1細胞RNA-seq / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
機能的な器官の構築には、適切な細胞分化と秩序立った形態形成の両者の調和が必要である。本研究では、ショウジョウバエ気管形成をモデルとして、ライブイメージングや1細胞RNA-seqの手法を駆使してその調和メカニズムを明らかにすることを目的としている。前年度までに、時系列1細胞RNA-seqによる気管細胞分化ダイナミクスの解析を進め、気管の複数の分岐のうち、最も表皮に近い場所に位置するSpiracle branch (SB)が、他の気管細胞とは異なるタイミングとメカニズムで分化すること、このSB細胞の分化過程では気管マーカー遺伝子と表皮マーカー遺伝子の発現がダイナミックに変動することが示唆された。当該年度ではこの結果を検証するために、Llama-tagシステムを用いて表皮マーカー遺伝子(ab遺伝子)のタンパク質発現のダイナミクスをライブイメージングにより解析するための実験系を構築した。そして、Abは原基周辺で発現がみられるようになり、その一部が気管陥入の終盤に内部へと陥入しSB細胞を構成することが明らかになった。これは1細胞RNA-seqから推定された遺伝子発現・細胞分化ダイナミクスと一致するものである。また、SB細胞マーカー遺伝子(ct遺伝子)のLlama-tagイメージング系も構築し、SB細胞への分化は陥入後に誘導されることも明らかになった。さらに、陥入に異常を示す変異体におけるtrh遺伝子の発現ダイナミクスの解析も進め、コントロール胚と同様にTrhタンパク質は原基で発現したものが陥入した気管でのみ維持され、陥入せずに表皮に留まった細胞では徐々に消失してくことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたイメージング用系統の構築を進め、気管細胞マーカーのTrhに加えて、表皮細胞マーカーのAbやSB細胞マーカーの発現ダイナミクスを明らかにすることができた。これは、1細胞RNA-seqから推定された遺伝子発現・細胞分化ダイナミクスと一致し、1細胞RNA-seq が実際の複雑な分化過程を捉えていることを支持する結果であり、重要な進捗である。また並行して、陥入に異常を示す変異体の1細胞RNA-seqデータの取得も終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
気管の陥入運動に異常を示す変異体の1細胞RNA-seqデータ解析を進めるとともに、ライブイメージングによるTrh・Ab ・Ct遺伝子の発現ダイナミクスの解析を進める。それらのデータをコントロール胚のデータと合わせて統合的に解析することで、気管原基細胞が組織形状変化に応答するタイミングについての共通したルールを見出し、気管の形態形成と細胞分化ダイナミクスの時空間関連の詳細と、その背後ある機構を明らかにすることを目指す。
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