2021 Fiscal Year Annual Research Report
四肢再生における分化リプログラミング&発生プログラム再起動を司る遺伝子機能
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20H03264
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 伸 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 研究教授 (90512004)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 四肢再生 / リプログラミング / 神経因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
四肢再生における脱分化現象を追求するために、イモリとアホロートルを使用した研究を展開した。本年はPde4bに関する機能解析実験の結果を論文化するための作業をメインに行った。当該年度の初めに論文を投稿し、かなりの分量のリバイスを求められた。各コメントに応対するための追加実験を行い、最終的に2021年の10月にAcceptのメールを得ることができた。一連の解析で付加的に明らかになった遺伝子の機能解析用に別個でトランスジェニックアニマルを作成するなど、今後の方策に向けた研究展開している。このような主業務のほかに、先年度の申請で記したように付加的な発見をもとに展開する実験をてがけている。再生芽のサイズの違いに注目した遺伝子機能と空間発現制御について大きな進展を得ている。この進展を論文にするために、理研の森下TLに助力を願い、シミュレーションなど当研究室では行えない解析を付け加えるなどしてきた。また、AMIRAを用いた画像解析ベースの空間発現解析など、これまで当研究室では扱ってこなかった新技術を導入しつつある。また、付け加えたいのは、遺伝子の空間発現制御に関して別個に論文を仕上げることができている事である。学生の自発的な創作によって今後の解析の束石となる論文を仕上げることができた。背側特異的な遺伝子発現が、本研究のメインとして据えていた再生誘導因子によって活性化する証拠を突き止めた。再生誘導因子による機能として「脱分化」というある意味抑制的な機能だけではなく、位置情報という側面でActiveな機能を発揮するということが明らかとなった。今後の再生誘導因子の機能解析に向けて、基礎的な知見を与えてくれるものとして大きに意義の深い論文となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
論文を日本も仕上げることができている。また、研究計画を大きく超えて、新しい知見を積み上げられるフェーズに入ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
再生誘導因子によるリプログラミングと再生過程の再活性化の解明に向けて、必要な遺伝子組み換え動物の創出にいそしむ。再生誘導因子のリプログラミングに関しては、細胞の分化と細胞の位置情報の二側面では全く異なる制御があることがあきらかになりつつある。したがって、この二つを分けて研究を展開する必要があると考えている。分化に着もした研究展開では、まず、ベースラインとなる分化細胞を正しく捕まえる必要が生じている。特に皮膚線維芽細胞を解析する必要があるのだが、皮膚線維芽細胞という雑多な集団を相手に、「分化」した細胞をどう定義するのかについて現状回答はない。この問題に対して、まずはグランドラインを引く作業を行っている。現在皮膚線維芽細胞の分化を捕捉するシステムを構築し、その解析を行っている。次年度にはこの問題に対して論文として回答を示すことが期待できる。また、細胞の位置情報に焦点を当てた解析では、引き続き前年度の研究をと発展させていくことで回答を探っていく予定としている。
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