2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of primary cell wall dynamics to regulate water conductivity of xylem vessel cells
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20H03271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 美沙都 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60435633)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ペクチン / 細胞壁 / 道管細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物一次細胞壁の主要非セルロース性細胞壁多糖であるペクチンに焦点をあて、「道管細胞分化におけるペクチンダイナミクスをペクチン修飾鍵酵素の観点から明らかにし、道管細胞の通水性制御における非セルロース性細胞壁多糖ダイナミクスの役割を解明する」ことを目的としている。2020年度には、以下の成果を得ることができた。 1.道管特異的に発現するペクチン分解酵素について、リコンビナントタンパク質を新たに調製し、既知のペクチン分解酵素との酵素特性の比較評価を行った。この結果、道管特異的ペクチン分解酵素は、器官脱離部位に広範に発現するタイプのペクチン分解酵素と異なる酵素特性をもつことが明らかとなった。ペクチン分解酵素遺伝子は多コピーとなっており、例えばペクチン主鎖分解に関わるポリガラクツロナーゼはシロイヌナズナゲノムには60個以上存在することが分かっている。今回の結果から、多様なペクチン分解酵素が協調して機能することでペクチンダイナミクスを生み出しているという可能性が示唆された。 2. VND7下流オミクスデータ(トランスクリプトームデータおよびプロテオームデータ)を精査し、道管細胞分化に伴って発現が変動するペクチン関連酵素遺伝子を探索した。さらに道管細胞分化に伴う細胞壁プロテオームを行い、新規細胞壁タンパク質を多数同定することに成功した。興味深いことに、この中にはペクチン分解やペクチン修飾に関わる酵素の他、これら酵素の阻害タンパク質も含まれていた。すなわち、道管細胞分化時には、ペクチンの分解・修飾が部分的に促進あるいは阻害される必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部、コロナ制限により海外研究協力者との連携に遅延が起こったが、オンライン会議や資料の郵送による連携によって予定していた解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たに単離したペクチン分解酵素の特性評価を継続して行いながら、予定通りの解析を進める。コロナ制限により海外研究協力者との連携が進まない可能性も考え、一部は解析内容の変更も視野に入れながら、道管細胞分化におけるペクチンダイナミクスの解明を進める。
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