2020 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-dimensional bioimage analyses with machine learning to reveal the dynamics of membrane vesicles and microtubules in stomatal guard cells
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20H03289
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桧垣 匠 熊本大学, 国際先端科学技術研究機構, 准教授 (90578486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気孔開閉運動 / 微小管 / 膜小胞 / イメージング / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多次元ライブセルイメージングと機械学習を活用した画像解析技術に基づいて、植物の気孔開閉運動を司るH+-ATPaseの細胞膜への局在化(細胞膜輸送)機構の全貌解明を目指す。気孔開口を駆動するH+-ATPase AHA1の細胞膜輸送に必須の因子であるPATROL1およびその相互作用因子群に注目し、それらの三次元分布および共局在性を多次元ライブセルイメージングにより描出する。取得画像群から膜小胞と微小管を高精度に検出・評価する機械学習技術を活用した定量的細胞生物学研究を展開し、気孔応答を制御するPATROL1依存的なAHA1の細胞膜輸送機構を明らかにする。 今年度は、PATROL1、微小管、PATROL1相互作用候補因子(膜交通関連因子)が蛍光タンパク質により標識されたシロイヌナズナ形質転換体を確立し、シリコンオイル浸対物レンズを搭載したスピニングディスク式共焦点顕微鏡による観察を実施した。取得画像から、機械学習を援用した画像解析を介して小胞の密度や微小管の配向、揃い具合、長さなどの特徴量を計測するとともに、これらの共局在性を定量的に評価した。また、膜交通関連因子を秒オーダーでの経時観察したところ、細胞膜近傍における膜小胞の滞在時間や、膜小胞に局在する順序に違いが観察された。そこで、多色動画像を取得し、滞在時間と局在順序に関しても定量評価を行った。 また関連研究として、細胞骨格の束化を定量評価する画像解析フレームワークを確立し、論文として発表した(Lu et al. 2020 Nature Commun, Higaki et al. 2020 Sci Rep)。本手法は、本研究の研究対象であるシロイヌナズナの孔辺細胞および敷石細胞における表層微小管にも有用であり、気孔開度との微小管束化指標の相関解析なども実施できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は新型コロナウイルス感染症流行のため研究活動が一部制限された時期があったものの、1年を通してみれば本研究への影響は限定的であったと言える。その理由として、当研究室では複数の顕微鏡装置を個別の部屋に設置しており、少人数(ほぼ1名)での画像取得実験が可能であったこと、オンラインを活用することで画像解析に係る共同作業や議論が問題なく実施できたことが挙げられる。学会等の研究集会の中止・オンライン化に伴い、旅費など経費の使用用途の変更は余儀なくされたものの、やはりオンラインを活用することで議論・情報収集・成果発表の機会を損なうことはほとんどなかったと思われる。来年度以降も、オンラインを活用した研究を推進したい。 計画時に予想していなかった展開として、本研究とは別に研究開発を進めていた細胞骨格の束化の定量評価法に進捗があり、これが本研究に有用であることが示唆された。孔辺細胞のアクチン繊維は免疫応答時にその高次構造が再編成されることが知られており、特に束の形成と解消が特徴的である。これを定量的に評価する目的で、アクチン繊維の顕微鏡画像から束化の程度を定量評価する画像解析フレームワークを検討したところ、植物のアクチン繊維に限らない、高い汎用性を持つ手法を開発することができた(Lu et al. 2020 Nature Commun, Higaki et al. 2020 Sci Rep)(本研究については熊本大学プレスリリースやEurekAlert! Science News Releasesdでも紹介された)。これは本研究で対象としている微小管にも適用可能であり、気孔開度との微小管束化指標の相関解析なども実施することができた。 以上より、本研究は当初の計画以上に進展していると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べたように、昨今の状況を鑑みるとオンラインを活用した研究環境の構築は研究を滞りなく遂行する上で重要と考える。そのため、従来までは旅費等に使用していた予算を研究室内外の通信に使用する機器やソフトウェアの購入に使用する. 具体的な研究内容としては、気孔開閉誘導処理に応答した「分オーダー」の定量解析を進める。また、これまで無処理の細胞に対して解析を進めてきた「秒オーダー」の細胞内構造の変化についても、例えば気孔開閉誘導処理の前後で調査するなど、気孔開閉状態に応じた差異を検討する実験を進める。一連の解析を通して、H+-ATPase AHA1の細胞膜輸送の各工程(例えば、細胞内運動、ドッキング、プライミング、膜融合など)における各因子の時間空間的な寄与を定量的な観点から推定することを目指す。
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[Journal Article] Discovery, characterization and functional improvement of kumamonamide as a novel plant growth inhibitor that disturbs plant microtubules.2021
Author(s)
Ishida T, Yoshimura H, Takekawa M, Higaki T, Ideue T, Hatano M, Igarashi M, Tani T, Sawa S, Ishikawa H.
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 23
Pages: 6077
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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