2020 Fiscal Year Annual Research Report
高温適応進化におけるプロテオスタシスネットワークの挙動とその機能の解明
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20H03302
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岸本 利彦 東邦大学, 理学部, 教授 (90339200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古倉 健嗣 東邦大学, 理学部, 准教授 (30344039)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロテオスタシス / 大腸菌 / 高温適応進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は下記の研究実績を得た。 1)プロテオスタシス制御因子の変異機能解析 プロテオスタシス制御因子の変異機能を解析するために、以下の研究を行った。①ゲノム編集により先祖株などの大腸菌にプロテオスタシス制御因子の必須遺伝子に変異を導入する技術の検討を行った。今年度は、ゲノム編集の効率化を目的にCRISPR/Cas9を用いたシステム (Appl. Env. Micro, 2015)をベースに変異周辺で2箇所の切断を行うなどの検討を行った。②必須遺伝子変異のゲノム編集は困難が予想されるため、プロテオスタシス必須遺伝子の野生型、変異型遺伝子をpASKベクターのpTet下流に導入した発現ベクターの構築を行い、変異型groS以外の野生型、変異型遺伝子の発現ベクター構築を完了した。遺伝子発現誘導条件の検討と、増殖速度測定条件の検討を完了した。 2)シャペロン系因子のターゲットタンパク質の網羅解析 GroEL/ES系において、Kernerの方法(Kerner, Cell, 2005)を用い、基質を取り込むGroELのフタとなるGroESのC末端にHisタグを付けた 発現ベクターによる細胞内発現系を構築を完了した。使用するgroS遺伝子を、大腸菌の野生型と変異型、およびKernerの報告にあるM. mazei groSを用いて検討した結果、M. mazei groSがもっともGroEL/ES複合体の回収率が良いことが判明した。 3)RpoH(野生型、変異型)のターゲット遺伝子と転写制御能の解析 ①高温適応進化過程でプロテオスタシス必須遺伝子のgrpEのプロモーター領域とプロテオスタシス遺伝子全ての転写制御因子であるrpoHに変異が導入されているため、それぞれの変異導入前後の大腸菌に対して、RNAseq 解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で研究開始が遅れたが、目標とした検討は実施できた。一部進捗が思わしく無い部分も出たが、予定以上に進捗した部分もあり、総合的には順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)プロテオスタシス制御因子の変異機能解析 ①ゲノム編集により先祖株などの大腸菌にプロテオスタシス制御因子の必須遺伝子に変異を効率的に導入する技術の検討を継続する。②プロテオスタシス必須遺伝子の野生型、変異型遺伝子の発現ベクターを用いた増殖速度測定による変異機能解析を実施する。 2)シャペロン系因子のターゲットタンパク質の網羅解析 GroEL/ES系において、GroEL/ES複合体の効率的な回収条件の検討を実施する。GroEL/ES複合体内のターゲットタンパク質の網羅解析の検討を開始する。 3)RpoH(野生型、変異型)のターゲット遺伝子と転写制御能の解析 ①RNAseq解析データを用いて高温適応進化における遺伝子発現ネットワークの変化を解析を行う。②ネットワーク変化の鍵となる因子に関して個別にrpoHの変異機能との関連を解析するため、ルシフェラーゼアッセイ系の構築を行う。
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