2021 Fiscal Year Annual Research Report
高温適応進化におけるプロテオスタシスネットワークの挙動とその機能の解明
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20H03302
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岸本 利彦 東邦大学, 理学部, 教授 (90339200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古倉 健嗣 東邦大学, 理学部, 准教授 (30344039)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロテオスタシス / 高温適応進化 / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は下記の研究実績を得た。 1)プロテオスタシス制御因子の変異機能解析 ①プロテオスタシス制御因子の変異機能を解析するために、CRISPR/Cas9を用いたシステム (Appl. Env. Micro, 2015)をベースに変異周辺で2箇所の切断を行うなどの検討を行い、ゲノム編集困難な変異であったhelD変異に関して、効率的なゲノム編集に成功した。プロテオスタシスの重要因子であるGroEL変異により、helD変異が有害から有益に変換する有害変異干渉効果の確認に成功した。必須遺伝子変異をターゲットとしたより効率的なゲノム編集システムを構築するため、ドナー配列をプラスミド挿入するシステムの検討に着手した。②高温適応進化でORFに3箇所の変異が固定されたGroELに関して、全ての変異の組み合わせを持つGroEL遺伝子を構築し、その発現と変異型GroELの熱安定性の解析を実施した。その結果、G9A変異がGroELの不安定化に関与することを明らかにした。 2)シャペロン系因子のターゲットタンパク質の網羅解析 GroEL/ES系において、Kernerの方法(Kerner, Cell, 2005)を用い、GroEL/ES複合体精製の検討に着手し、変異型GroEL高発現株でのHisタグ付きGroESの発現検討に着手した。 3)RpoH(野生型、変異型)のターゲット遺伝子と転写制御能の解析 RNAseq解析によりプロテオスタシス因子遺伝子grpEのプロモーター変異前後でgrpE発現が有意に上昇していることを確認。大腸菌ルシフェラーゼアッセイ系でgrpEプロモーター野生型、変異型のレポーターベクターを構築し、rpoH変異固定前後の大腸菌を用いたルシフェラーぜアッセイを実施した結果、grpEプロモーター変異は野生型rpoH発現株において、有意に発現を上昇させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポシティブな理由として、ゲノム編集が困難であった変異に対するゲノム編集システムの構築に成功したこと。GroEL/ES複合体解析の目処が立ったことが挙げられる。また大腸菌ルシフェラーゼアッセイ系を確立でき、プロモーター変異の解析が可能となったことから、rpoH変異に対する転写制御ネットワークの解析範囲が拡張できたこともポジティブな要因。 AlphaFold2を利用した、高温適応進化のタンパク質変異に関して、構造機能相関の網羅解析が検討可能となったこともポジティブ要因。 一方ClpBを含むシャペロン複合体の精製は、良い例がなく、手探り状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗状況を加味して、ゲノム編集によるプロテオスタシス変異機能解析、高温菌にほぼ進化した大腸菌のゲノム解析とRNA seq解析からrpoH変異による転写制御ネットワークの解析、GroEL/ES複合体解析によるGroEL/ESターゲットタンパク質の網羅解析によるタンパク質ネットワーク解析、変異タンパク質の構造機能相関解析を中心として研究を継続する。
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Research Products
(3 results)