2022 Fiscal Year Annual Research Report
交尾器形態の差異はどのような種分化段階から現れるのか:小型蛾類を用いたアプローチ
Project/Area Number |
20H03312
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大島 一正 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (50466455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 種分化 / 交配前隔離 / 交配後隔離 / 形態的分化 / 生態的分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗視野行動観察システムを用いて,フジホソガのフジ上集団とアサ科・ニレ科上集団間の交配において,「フジ上集団のメス1頭とフジ上集団のオス1頭,そしてアサ科・ニレ科上集団のメス1頭」のような選択交配実験を行い,この場合であれば,フジ上集団のオスがどちらのメスに最初に反応するか,そして最終的に交配するのはどちらのメスかを調べるための選択交配実験を行った.組み合わせのパターンは,メス2個体+オス1個体の場合と,メス1個体+オス2個体の場合について行い,計4通りの組み合わせで交配させた.その結果,メスが2個体の場合,フジ上集団のオスはもっぱらフジ上集団のメスと交配した一方,アサ科・ニレ科上集団のオスはいずれの集団のメスとも交配した.オスが2個体の場合,フジ上集団のメスの多くはフジ上集団のオスとのみ交配した.アサ科・ニレ科上集団がメスの場合は,アサ科・ニレ科上集団のオスとのみ交配していたが,交配の総数は著しく低かった.これらのことから,フジ上集団のオスはフジ上集団のメスの性フェロモンに特に反応し,かつフジ上集団は交配活性が高いと考えられる.一方,アサ科・ニレ科上集団のオスは,いずれの寄主上集団の性フェロモンにも反応するが,アサ科・ニレ科上集団は総じて交配活性が低いと考えられる.これらの結果から,交尾器形態にはほぼ差異は見られないが遺伝マーカーには明瞭な分化が見られるフジホソガの寄主上集団間では,交配活性の違いと,一方の寄主上集団のオスのみに自集団のメス性フェロモンへの特殊化が見られるため,集団間で非対称な交雑が生じていると予想される.クルミホソガのホストレースに関しても同様の選択交配実験を行い,各レースのオスは,同じレースのメスの性フェロモンにより反応しやすいことがわかった.
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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