2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of mechanisms of the trade-off in altitudinal adaptation in relation to phenotypic plasticity
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20H03317
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
彦坂 幸毅 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10272006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 耕介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50462718)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 標高適応 / 局所進化 / 遺伝子変異 / 温度適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
伊吹山の様々な標高に生育するハクサンハタザオを材料とし、異なる標高への適応について研究を行っている。ハクサンハタザオは高標高と低標高で葉の毛の有無など視覚的に分別できる違いをもつ。また、分子生物学のモデル植物であるシロイヌナズナと同属近縁であるため、多くの遺伝子情報を利用することができるというメリットがあり、標高適応の分子メカニズムを解明する対象として興味深い。 今年度は高標高エコタイプと低標高エコタイプのかけあわせによって得た多数のF2個体を使い、人工気象機を用いてストレス耐性実験を行った。葉が凍結し始める温度によって耐凍性を、低温で光照射を行うことによって低温耐性を評価し、また、葉の毛の密度や葉面積あたり葉重といった形質についても解析を行った。F2個体の全ゲノム解析を行い、これらの形質の標高間変異をもたらす遺伝子変異の探索を行い、候補遺伝子のリストを作成した。現在、高標高/低標高エコタイプ間とF2の形質分化について論文をまとめている。また、候補遺伝子の機能を文献から精査している段階である。 伊吹山の標高350mから1317mまでの幅広い標高帯から、サンプリングした個体の全ゲノム解析を行い、ゲノム構造の解析を行った。集団分化は明瞭ではなかったが、700m以下の低標高グループ、1000m以下の高標高 グループと、両者の遺伝子が混在する700m~1000mの中間標高グループに分けることができた。それぞれをサブ集団と考え、中間集団でどのような選択が起こって いるかを解析した。この結果を論文にまとめ、発表した(Yoshida et al. 2023 J Plant Res)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の流行のため、現地での移植実験を行うことはできなかったが、人工気象機でのストレス実験に変更することで研究を継続した。若干の遅れはあるものの、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
F2個体を用いた形質-遺伝子関係の解析をさらに進める。生育環境に応じた可塑的変化の大きさが標高間の適応分化をもたらしていると考えられ、形質値そのものだけでなく、可塑的変化の大きさに着目した解析を行う。
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Research Products
(7 results)