2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a simultaneous analysis system for multispecies breeding regimes with environmental DNA analysis
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20H03326
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
源 利文 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50450656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 裕樹 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (60455227)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境DNA / 環境RNA / 繁殖レジーム / メタバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)特定種の繁殖レジームの把握手法の開発及び野外における検証について、三春ダムの前貯水池において2020年4月から8月まで、現地協力者の協力を得て毎週採水調査を行った。6月には現地を訪れ、10日間の連日採水調査を行った。その結果、核DNAをマーカーとした場合に、繁殖行動をより良く把握できる可能性が見いだされた。この結果は論文投稿準備中である。琵琶湖水系では夏季に全流入河川での採水調査を実施した。アユ繁殖期の調査、三重県の調査はCovid-19の影響によって実施できなかった。次年度以降に挽回するため、研究員の公募を行い、採用の内定をした。 (2)環境DNAメタバーコーディングによる繁殖レジームの多種同時探索法の確立と野外適用について、核rRNA遺伝子上に環境DNAメタバーコーディング用のプライマーを設計し、実験条件を確定し、琵琶湖サンプルを用いた解析を行った。参照配列決定のため、琵琶湖水系に生息するほぼ全魚種のDNA試料を準備した。予備的な配列決定などののち、NGSによる参照配列の一斉取得に向けて、使用するプライマーセットの設計と合成を行った。 (3)環境中のRNA情報から繁殖レジームを把握する手法の開発について、採取後の環境RNA試料の持ち帰り手法について、既存の薬剤では分解を十分に抑制することが出来なかったため、サンプルを低温で持ち帰る手法を用いることにした。ゼブラフィッシュの繁殖関連RNAの検出について、より詳細に基礎情報を得るため、分解速度の測定を実施した。その結果、環境DNAと大差のない分解速度であることが明らかになった。現在、論文化の準備を進めている。表皮や鰓の表面などの細胞内で組織特異的に発現するmRNAを水中から検出を試みた研究について、国際誌で成果報告を行った。 上記のほか、過年度までに取得済みだったデータの取りまとめ、解析、論文化などにも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり、Covid-19の影響によって一部の調査を実施できなかった。一方、室内実験が予定以上に進展し、核DNAを対象とした環境DNAメタバーコーディング分析系を確立し、野外適用にも成功している。そのため、全体としては順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)特定種の繁殖レジームの把握手法の開発及び野外における検証について、これまでの調査の結果から、よりコントロール可能な環境での調査が必要であると判断し、繁殖行動の環境DNA分布に対する時空間的な影響範囲を明らかにするため野外実験池を用いた調査を実施する。また、前年度は実施できなかった琵琶湖流入河川および三重県櫛田川水系おける、アユおよびタナゴ類の産卵期のサンプリングを行う。 (2)環境DNAメタバーコーディングによる繁殖レジームの多種同時探索法の確立と、野外適用について、予定通り、前年度に設計した検出系の様々な環境における適用可能性を確認するとともに、リファレンス整備を継続する。 (3)環境中のRNA情報から繁殖レジームを把握する手法の開発について、予定通り、回収効率の向上のため試料水の濾過、保存、抽出、逆転写等の各種ステップの改良を行うとともに繁殖関連遺伝子について検出系を設計し、水槽実験および野外池を用いた実験でその有効性を確認する。
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