2020 Fiscal Year Annual Research Report
安静時の生理状態を指標とした現代人の都市人工環境に対する適応に関する研究
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20H03334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒次 祐子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00360397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 啓 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00714883)
石橋 圭太 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40325569)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SAM系 / におい導入 / 心拍変動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型ウイルスによる感染拡大状況を鑑み,木材のにおいを用いた予備的な実験を実施した。被験者は20代男性12人とし,ヒノキ、スギ、ヒバのにおいを,それぞれの材油を滴下した活性炭入りマスクの装着によって被験者に呈示した。対照として精油の滴下を行っていないマスクを装着する無臭条件を設定し,計4条件で実験を実施した。生理指標として心拍数を心拍モニタ(WHS-1、ユニオンツール社製)を用いて測定した。においの印象は10項目について評定尺度法を用いて評価した。あわせて30秒の時間感覚を産出法にて測定した。 対照を除く各条件のにおいの強さは「何のにおいかわかる弱いにおい」から「楽に感知できるにおい」の間でほとんど差がなかった。産出時間について4条件間に有意差はなく、樹種の違いによる時間感覚への影響は確認されなかった。産出時間、心拍数、心理指標について、被験者とにおいの種類を要因とした 2元配置分散分析を実施したところ、ほとんどの項目で被験者の効果が強く認められた。以降は個人差の影響を軽減するため、精油を滴下した3条件について滴下のない条件との差分をとり分析を行った。 においの強さとにおいの印象の主観評価の計11項目についての因子分析を行ったところ,3因子が抽出され,においに対する印象は「好感度」「刺激」「飽きなさ」で構成されていると考えられた。 因子得点についてにおいの種類を要因とした1元配置分散分析を実施したところ、「刺激」の項目についてにおいの種類の効果が見られ、多重比較の結果ヒノキはヒバより「刺激」の得点が有意に高いことがわかった。これらの3因子の因子得点と心拍数の計4項目を要因として産出時間についての重回帰分析を行ったところ、においの印象における「刺激」と心拍数の影響が有意となり、心拍数が高いほど時間を長く感じ、「刺激」の因子が強いほど時間を長く感じていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型ウイルス感染拡大による社会的な状況が落ち着かず,長期間に渡る生理測定実施が難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大による状況を見ながら実験準備を進めたい。
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Research Products
(3 results)