2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H03338
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河崎 洋志 金沢大学, 医学系, 教授 (50303904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの大脳皮質はマウスの大脳皮質に比べてサイズが大きく、またその表面にシワ(脳回)が存在するなど著しく発達している。脳回は大脳皮質の高機能化の基盤となる重要な構造であるが、マウスでの解析が不可能であるためにその形成機構および異常疾患病態は不明な点が多い。そこで本研究では、脳回を持つ食肉類哺乳動物フェレットを用いることにより、脳回形成の分子機構を解明することを目的とした。特に我々が確立したフェレット脳への子宮内電気穿孔法とCRIPSR/Cas9を応用した遺伝子操作技術を駆使することが特徴的である。我々はこれまでに脳回形成に関わる遺伝子を探索した結果、線維芽細胞増殖因子(FGF)シグナルやsonic hedgehog (Shh)シグナルが脳回形成に関わっていることを見いだしていた。そこで本年度はShhシグナルが活性化している細胞の同定を行った。Shhシグナルが活性化するとGli1発現量が高くなることが知られている。そこでフェレットの形成期大脳皮質でのGli1 mRNA発現をin situ hybridizationを用いて検討した。その結果、oRGのなかにGli1陽性とGli1陰性の2群の細胞が存在することを見いだした。続いて、活性化型Shh (Shh-N)を胎生33日齢のフェレット大脳皮質へ導入しShhシグナルを活性化させたところGli1陽性oRGが増加し、逆にShhシグナルを阻害するHhipΔC22を導入したところGli1陽性oRGが減少したことから、ShhシグナルはGli1陽性oRGの増加に必要かつ十分であることがわかった。本研究の成果は、滑脳症や多小脳回症などの脳回に関する疾患の病態解明にも発展するのみならず、脳回以外の高等哺乳動物に特有の多様な脳神経構築の形成機構解明への突破口となるなど波及効果も大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェレットの形成期大脳皮質でShhシグナルが活性化している細胞の同定を行った結果、oRG細胞のなかにGli1陽性とGli1陰性の2群の細胞が存在することを見いだした。この結果は、oRG細胞のなかに異なる2つの亜集団が存在している可能性を示唆している。さらにShhシグナルがGli1陽性oRG細胞の増加に必要かつ十分であること見いだしていることから、順調に研究は進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、FGFシグナルやShhシグナルによる脳回形成のメカニズムを明らかにする。神経前駆細胞数の変化は、1)細胞増殖量の変化、2)細胞死の変化、3)分化制御の変化の可能性が考えられる。そこで、FGFシグナルもしくはShhシグナルを変化させた大脳皮質において、細胞増殖マーカー(Ki-67, リン酸化ヒストンH3, PCNA)、アポトーシスマーカー(cleaved caspase-3)の抗体染色を行う。さらに、大脳皮質の神経細胞数、アストロサイト数、オリゴデンドロサイト数の定量を行い、増加している細胞数を明らかにすることにより、脳回形成に関わるメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(35 results)
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[Journal Article] Localized astrogenesis regulates gyrification of the cerebral cortex2022
Author(s)
Shinmyo Yohei、Saito Kengo、Hamabe-Horiike Toshihide、Kameya Narufumi、Ando Akitaka、Kawasaki Kanji、Duong Tung Anh Dinh、Sakashita Masataka、Roboon Jureepon、Hattori Tsuyoshi、Kannon Takayuki、Hosomichi Kazuyoshi、Slezak Michal、Holt Matthew G.、Tajima Atsushi、Hori Osamu、Kawasaki Hiroshi
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Journal Title
Science Advances
Volume: 8
Pages: eabi5209
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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