2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H03341
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80542563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 有己 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10511280)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | RNA修飾 / 発生・分化 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
2本鎖RNA中のアデノシンをイノシンへと置換するRNA編集は、哺乳類において最も豊富に生じている化学修飾である。特に脳において高頻度に生じているが、RNA編集が脳の形成や機能の維持に果たす役割については、まだ部分的にしか解明されていない。触媒酵素の1つであるADAR1には、細胞質に局在するp150と核に局在するp110の2種類のアイソフォームがある。p150については、RNA編集により2本鎖RNA構造を緩めることで自己免疫が惹起されないように抑制する機能があることが分かりつつある。しかし、特徴的に脳に高発現しているp110については全く役割不明である。そこで本研究では、ADAR1 p110の脳の発生・分化や機能に果たす役割を解明することを目的として研究を開始した。昨年度から引き続き、ADAR1 p110選択的KOマウスの解析を行い、生後直後に高頻度に死に至る表現系を呈することが明らかとなった。しかし、ADAR1 p150欠損時に生じる自然免疫の異常活性化は認められないことを明らかにした。また、この表現型がRNA編集非依存的な機能によることも明らかとなってきた。これらの結果を論文として報告した。神経細胞に発現するADAR1 p110の具体的役割は解析中であるが、単一神経細胞RNA-seq解析を行った結果、脳室周囲の放射状グリア細胞の数が減少している可能性が示唆されており、これらについて、更に情報解析を進め、具体的役割を捕らえるための手がかりを得る。一方、神経細胞特異的なADAR1 KOマウスを樹立したところ、やはり生後直後に死に至る表現系を呈することが明らかとなった。本年度は、様々な遺伝子改変マウスと交配し、どういった経路がこれら表現型に影響しているのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADAR1 p110 KOマウスを詳細に解析し、ADAR1 p150とは異なる機能を有し、RNA編集非依存的な機能が出生前後の脳形成に不可欠であることを明らかにした。また、成果の一部を論文として報告することができた。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ADAR1 p110には、RNA編集依存的な機能と非依存的な機能があり、少なくとも後者については、出生前後の脳形成に不可欠であることが明らかになった。今後も、神経細胞に発現するADAR1 p110の具体的役割を詰めていく。特に、単一神経細胞RNA-seq解析を行った結果、脳室周囲の放射状グリア細胞の数が減少している可能性が示唆されており、これらについて、更に情報解析を進め、具体的役割を捕らえるための手がかりを得る。また、昨年度に引きつづき、ADAR1に対する免疫染色やin situハイブリダイゼーション、神経前駆細胞マーカータンパク質への免疫染色などを実施して、神経前駆細胞の発生・分化への影響を解析する。一方、神経細胞特異的なADAR1 KOマウスを樹立したところ、やはり生後直後に死に至る表現系を呈することが明らかとなった。今後は、様々な遺伝子改変マウスと交配し、どういった経路がこれら表現型に影響しているのかを明らかにする。すでに、表現型の重篤度が軽減できる因子も見出しており、引き続き交配による生存率や症状の長期的観察を行う。また、病理学的解析あるいは遺伝子発現解析を実施し、最終的に脳におけるADAR1 p110の役割を解明していく。
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