2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of neural regeneration therapy by gene transfection of neuronal circuit formation factor LOTUS
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20H03342
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
竹居 光太郎 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (40202163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LOTUS / 脊髄損傷 / 遺伝子導入 / アデノ随伴ウイルス / タンパク質製剤 / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスを用いて脊髄損傷モデル動物を作製して神経再生状態を行動学的および組織学的に解析した。圧挫滅処置後、損傷直後(急性期-1)、5日後(急性期-2)、14日後(亜急性期-1)に再び脊髄を露出させてLOTUS発現用アデノ随伴ウイルス(AAV-LOTUS)を髄腔内に最大容量で注入した。遺伝子導入効率は、lotus遺伝子にP2Aを介して融合させたGFPの免疫組織化学的解析によって解析し、最長2カ月間の行動学的解析を行なって遺伝子治療における効能を検討したところ、 損傷直後投与の場合、著効ではなかったが、有意な運動歩行の改善効果が認められた。しかし、損傷後5日目投与では歩行運動の改善効果は認められず、対照実験群(GFP発現用アデノ随伴ウイルス:AAV-GFP)およびAAV-LOTUS投与群の双方で約30%の割合で後肢の固縮が見られ、ベクター投与による副反応が生じたと考えられた。また、損傷後14日目投与では損傷直後投与とほぼ同様な歩行運動の改善が認められた。次に、AAV-LOTUS投与による脊髄におけるLOTUSの過剰発現状態を解析したところ、内在性LOTUSの発現量の約25倍の過剰発現が脊髄の広範囲において認められた。先行研究で顕著な機能改善を示したLOTUS過剰発現トランスジェニックマウスにおけるLOTUS発現量が約1.5倍であったことから、過剰発現の度合いが大きすぎた可能性があり、今後は投与量を減量させて最適化を図る予定である。一方、GLP安全性試験の予備段階として遺伝子導入後最長3カ月間の行動学的・組織学的・病理学的解析を行ったところ、有害事象は一切認められず、AAV-LOTUS投与の安全性が確認された。他方、上記の遺伝子導入法とは別途にLOTUSタンパク質を精製し、タンパク質製剤による機能改善効果についても検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスを用いて脊髄損傷モデル動物を作製し、LOTUS発現用アデノ随伴ウイルス(AAV-LOTUS)を髄腔内に注入した後に神経再生状態を行動学的および組織学的に解析した。 損傷直後と損傷後14日目の投与では有意な運動歩行の改善効果が認められたり、損傷後5日目の投与では有害事象様の反応が観察されたりして、着実に投与法についての検証を行うことができた。また、内在性LOTUSの発現量の約25倍の過剰発現が脊髄の広範囲において認められ、投与量を減量させて最適化を図る研究の必要性が見出された。一方、GLP安全性試験の予備段階として遺伝子導入後最長3カ月間の行動学的・組織学的・病理学的解析において安全性が確認された。これらの成果は予定通りの成果であり、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ベクター導入による過剰発現量を減弱させる目的で、ベクター投与量を減量して投与量の最適化を検討する。また、投与時期についても減量して最適化が見られた投与量において損傷直後に加え、損傷10日目や損傷14日目の投与についても検討する。更に、LOTUSタンパク質製剤を用いた機能改善効果についても検討を行い、遺伝子導入とタンパク質製剤の双方のアプローチによる機能改善効果の検討を継続して遂行する。
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