2020 Fiscal Year Annual Research Report
希少ポリケチドを構造基盤とした合理的簡略化プロセスの構築と新機能性分子の創出
Project/Area Number |
20H03366
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
占部 大介 富山県立大学, 工学部, 教授 (80503515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 圭介 富山県立大学, 工学部, 助教 (40821575)
生城 真一 富山県立大学, 工学部, 教授 (50244679)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 天然物化学 / 全合成 / 計算化学 / DFT計算 / NMR値予測 / ポリケチド / 分子設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造未決定ポリケチドの構造解析から研究をスタートさせ、立体多様性全合成、生物活性評価までを1サイクルとし、これを複数回サイクルさせる逐次的プロセスを実施し、ポリケチドの合理的簡略化プロセスの構築と新機能性分子の創出を目指す。令和2年度は、ホルモサリドAとアンフィジノリドLの未決定立体配置をDFT計算を用いたNMR化学シフト値予測により、それぞれ4個、および32個の可能な異性体から最も天然物の構造として確からしい異性体を見出した。ホルモサリドAに関しては、ドイツの研究グループが令和2年度中に全合成による構造決定を報告した。この結果は、我々の予想したホルモサリドAの相対立体配置と一致していた。報告以前から既にホルモサリドAの予想構造をもとに合成研究を開始しており、令和2年度には薗頭カップリング、金触媒を用いた6員環エーテル環化を鍵として、C1-C18フラグメントを立体選択的に合成した。また、共役シスジエンを2つ含む不安定なC19-C30フラグメントのモデル合成を実施した。低収率ではあるものの、銅を用いたSN2反応によるC19-C24フラグメントとC25-C30フラグメントのカップリングと3つのアルキンの部分還元による合成経路を確立した。アンフィジノリドLについても予想した構造に基づき、合成研究を実施した。立体選択的なアルドール反応を鍵として、C14-C19フラグメントとC20-C26フラグメントを連結した後、さらにC7-C13フラグメントをStilleカップリングにより連結する経路を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツのグループによるホルモサリドAの構造決定は予想外ではあったが、すでに我々がNMR計算によって予想した構造と一致したため、それまでの合成研究を継続することに支障はなかった。ホルモサリドA、アンフィジノリドLともに、立体選択的合成経路を確立しつつあり、順調に研究は進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度中に、ホルモサリドAとアンフィジノリドLの全合成を行う。確立する合成経路には、今後の構造活性相関を見据え、様々な立体異性体を合成可能な立体多様性を持たせる。また、NMR化学シフト値計算による構造推定が順調であることから、3つ目の研究対象として設定しているアンフィジノリドMの構造推定を実施する。アンフィジノリドMには1024個の可能な立体異性体が存在することから、効率的な候補化合物の絞り込みを実施する必要がある。そこで、アンフィジノリドMを立体中心が孤立した3つのフラグメント(C1-C16, C16-C28, C28-C38フラグメント)の個々の立体配置をNMR計算によって推定し、最終的にそれらを組み合わせ、候補化合物を絞り込む。また、アンフィジノリドMの立体多様性合成経路の確立を目指し、2つの5員環エーテルを含むC16-C26フラグメントの全ての異性体を合成可能な手法を開発する。
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Research Products
(24 results)