2021 Fiscal Year Annual Research Report
希少ポリケチドを構造基盤とした合理的簡略化プロセスの構築と新機能性分子の創出
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20H03366
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
占部 大介 富山県立大学, 工学部, 教授 (80503515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 圭介 富山県立大学, 工学部, 助教 (40821575)
生城 真一 富山県立大学, 工学部, 教授 (50244679)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 天然物化学 / 全合成 / 計算化学 / DFT計算 / NMR値予測 / ポリケチド / 分子設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の実績は以下の通りである。 ホルモサリドAに関する研究:ホルモサリドAのエナンチオマー体を合成標的とし、特徴的な構造であるマクロ環の構築に成功した。具体的には、前年度までに合成したC1-C18フラグメントから、5工程の変換によってカルボン酸を導いた後、椎名マクロラクトン化によって14環ラクトンを合成した。マクロラクトン化では、ピラン環上のヒドロキシ基の保護が、再現性・収率よく目的物を合成するために必須であることを見出した。 アンフィジノリドLに関する研究:前年度までに確立した立体選択的アルドール反応の選択性発現機構をDFT計算によって解析した。その結果、反応に含まれる2つのリチウム原子が基質の配座を固定した上で、1つのエーテル分子が2つのリチウム原子に同時に配位することで、遷移状態を安定化させている事が分かった。 アンフィジノリドMに関する研究:立体化学が決定されていないC16-C26フラグメントに関して、可能な立体化学を持つ4種の立体異性体の立体選択的合成を実施した。ラセミ体のC2対称およびメソ構造をもつジアリルジオールに対して、コバルト触媒を用いた酸化的エーテル環化を行うことで、ラセミ体としてジアステレオマーの関係にあるC16-C26フラグメントを合成する方法を確立した。次いで、ラセミ体C2対称ジアリルジオールをリパーゼを用いて光学分割し、光学活性ジアリルジオールを合成した。現在は、C2対称ジアリルジオールに対する光学分割を検討している。4種の光学活性ジオールを用いて、C16-C26フラグメントの4種立体異性体を合成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホルモサリドAとアンフィジノリドLの合成経路は、ほぼ確立できており、今後は原料の量的供給と全合成を遂行する事となる。アンフィジノリドMについては、全体構造の約1/3にあたるC16-C26フラグメントの合成経路の確立に目処がついている。いずれの合成経路も多様な立体化学を持つ異性体を合成することができるものであり、将来的な分子設計を見据えているという点では、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ホルモサリドAに関する研究:ホルモサリドAのエナンチオマー体の合成経路に目処がついているので、その合成経路に従い、ホルモサリドAの全合成を行う。マクロ環化後の側鎖導入は困難である事が分かっているため、側鎖導入の足がかりとなる官能基を持つフラグメントを新しく設計し、それを用いた全合成を遂行する。 アンフィジノリドLに関する研究:アンフィジノリドLの合成に必要となる4つのフラグメントは既に合成できているため、それらを連結し、全合成を完成させる。 アンフィジノリドMに関する研究:アンフィジノリドMの構造推定には可能な1024個の異性体を考慮する必要があるため、極めて困難であるが、それらのNMR値計算と解析を自動化するためのpythonプログラムを作成する。また、C16-C26フラグメントの合成経路の確立と、マクロ環構築に向けて検討を実施する。
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Research Products
(25 results)