2020 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖を標的とする新規多発性硬化症治療抗体の開発に向けた基盤研究
Project/Area Number |
20H03379
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川島 博人 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50260336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 基弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (00362137)
安保 博仁 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (80868050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ球ホーミング / 高内皮細静脈 / 抗糖鎖抗体 / 多発性硬化症 / 免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖は、分化・発生、免疫、癌化、タンパク質品質管理などにおいて様々な役割を果たし、近年、第三の生命鎖として注目されている。我々は、特定の糖鎖構造に特異的な抗糖鎖抗体を効率良く作製する方法論を開発し、親和性および特異性の高い様々な抗糖鎖抗体の作製に成功している。本研究では、新たに開発した抗糖鎖抗体による実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の治療効果の検討を行い、糖鎖を標的とした新規免疫疾患治療薬の開発に向けた基盤を確立することを目指す。2020年度は、糖転移酵素欠損マウスにおけるEAE発症・病態進展の解析を行った。具体的には、野生型C57BL/6マウスおよび糖転移酵素欠損マウスを用いて、常法に従って、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)由来ペプチドと完全フロイントアジュバントを混和して作製するエマルジョンを背部皮下に注射後、百日咳毒素を腹腔内注射することにより、EAEを誘発させ、経時的にクリニカルスコアの判定を行うとともに、病態の進行をヘマトキシリン・エオジン染色により組織学的に判定した。その結果、特定の糖転移酵素欠損により、顕著にEAEが抑制されることが明らかとなった。我々は同遺伝子欠損マウスで欠損する特定の糖鎖に特異的に結合する抗糖鎖抗体の開発に成功している。そこで次に、野生型マウスにおいて、MOGペプチドによる感作の時点で同抗糖鎖抗体を投与し、経時的にクリニカルスコアの判定を行うことで、発症抑制効果を解析した。その結果、同抗体による顕著な発症抑制効果を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において、独自開発した抗糖鎖抗体の顕著な疾患抑制効果を見出すことができ、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
EAE発症前もしくは発症後に抗糖鎖抗体を投与し、経時的にクリニカルスコアの判定を行うことで、抗糖鎖抗体の発症抑制効果をより詳細に評価する。また、経時的に組織を採取し、免疫組織染色用の組織ブロック作製と遺伝子発現解析のためのRNA調製を行い、脱髄の進行と白血球浸潤の有無を組織学的に判定するとともに、疾患発症に関わる遺伝子発現の変化を解析する予定である。
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