2020 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞で頑強に維持される超アセチル化エピゲノムを操作する
Project/Area Number |
20H03388
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅原 崇史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (20415095)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / クロマチン / ヒストン / 遺伝子発現 / がん / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、ヒストンH4の超アセチル化を選択的に認識するモノクローナル抗体を用いて、ヒトの膠芽腫幹細胞株と分化膠芽腫細胞株、ミクログリア株に対してクロマチン免疫沈降-塩基配列解析(ChIP-seq)のデータを取得し、その比較バイオインフォマティクス解析を行った。各細胞で取得したエピゲノム地図に基づいて、ヒストンH4が超アセチル化したクロマチン領域を遺伝子エンハンサーとプロモーターごとに同定し、H4の超アセチル化状態を指標とするランク付けにより「スーパーエンハンサー」を再定義した。このデータを、従来のH3のK27アセチル化に基づくスーパーエンハンサーと比較することで新基準で特異的に見出されるスーパーエンハンサー群を複数特定した。次に、この関連遺伝子とクロマチン領域が膠芽腫の幹細胞能を制御するかどうかについてsiRNAノックダウンとCRISPR/Cas9欠失で検討した。膠芽腫の幹細胞性の喪失は、神経幹細胞マーカー遺伝子の発現減少と細胞塊の形成効率の減少を指標とした。本年度はノックダウンおよびCRISPR/Cas9欠失の両実験において予備的なデータを取得した。また、抗体の熱安定化のため、H4超アセチル化認識抗体のアミノ酸配列を生細胞イメージングが可能な安定型抗体のサブファミリーの一次配列と類似性を比較した。ファミリー間で保存されていないアミノ酸残基のうち、該当抗体の結晶構造中で溶媒領域へ露出しているアミノ酸残基を親水性アミノ酸残基に置換し、可溶性を検討した。さらに、該当抗体の内部を形成する親水性アミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基に置換した抗体の可溶性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画した通りにデータの取得と解析が進行したため。特に生物学研究のパートは当初計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は当初計画の通りに進める。なお、生物学研究のパートは当初計画以上に進展したため、膠芽腫幹細胞株以外の関連細胞株における機能解析も行う予定である。
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Research Products
(11 results)