2020 Fiscal Year Annual Research Report
全脳細胞解析による不安制御に関わる神経基盤の解明と創薬研究への応用
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20H03391
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠井 淳司 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (40454649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不安障害 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、不安障害の患者数は急増しており、認知症患者数よりも多く、社会負担が甚大ながら、成因・病態機構や治療機序が未解明で新規治療薬の開発も長年失敗している。本研究では、それを打開するため、応募者らが最近開発した方法論を駆使し、従来研究では見逃されていた病態の詳細な分子・神経基盤の解明を通じ、新たな治療法の確立に貢献する。具体的には、最新の高精細全脳イメージング法および単一細胞トランスクリプトーム解析法を組み合わせ、強い精神的ストレスに暴露された脳を、全脳細胞レベルで解析し、ストレス誘発不安様行動を制御する神経基盤を明らかにすることを目指している。本年度は、ストレスに応答する細胞を特異的に蛍光標識し、脳全体の回路構造を明らかにするとともに、特に重要な細胞集団のシングル細胞トランスクリプトーム解析を実施した。その結果、これまでのストレス応答に関わる神経回路に加え、新たな神経回路を同定することに成功した。またその細胞のトランスクリプトーム解析から特に重要な複数の候補分子を同定している。今後は、これらの回路、分子に活動を様々な不安障害や不安惹起法を組み合わせ、新たなコンセプトの不安障害治療法の提唱に繋げることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進捗し、全脳コネクト―ム解析、トランスクリプトーム解析を終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
神経回路特異的な活動操作が脳全体の活動に与える影響や、分子特性に基づいた候補分子(経路)の薬理学的な行動レベルへの影響を明らかにする。
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