2020 Fiscal Year Annual Research Report
ABC輸送体の機能増強による疾患治療実現に向けた創薬標的の同定法開発
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20H03400
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 久允 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (10451858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 忠快 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (90736050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 創薬 / ハイスループットスクリーニング / 大規模診療データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生活習慣病から希少難病に至るまで、細胞膜に発現するABC輸送体の活性化により、治療が実現すると考えられる治療法未確立の疾患が次々と明らかにされている。しかしながら、生体内でABC輸送体を活性化する方法論が未確立であるため、当該疾患群に対する医薬品開発は困難を極めている。本研究では、研究代表者独自の成功事例に基づき、「ABC輸送体の細胞膜を起点とする分解機構」を阻害し、ABC輸送体の細胞膜発現量を高めることが、生体におけるABC輸送体の活性化、ひいては疾病治療に繋がることを、抗動脈硬化作用を有するABC輸送体ABCA1を用いて検証する。 本年度は、独自に構築したABCA1の細胞膜発現量を指標とする評価系を活用し、各種ライブラリーのスクリーニングを完了した。さらに公知データを活用した数理解析により、ライブラリースクリーニングから見出した陽性遺伝子・化合物群から真陽性の絞込みを行った。これらの工程を経て、ABCA1の分解に関わる分子機構候補の同定に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度にライブラリースクリーニングを完了し、その結果を既存知見と統合解析することにより、ABCA1の分解機構を規定する分子基盤候補を見出す予定であった。当初計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のスクリーニング結果と既存知見との統合解析により見出した、ABCA1の細胞膜を起点とする分解機構への関与が推定された遺伝子群について検証実験を実施する。 具体的には、肝細胞、腸管上皮細胞のモデルとして汎用されるHepG2, Caco2細胞において、当該遺伝子をsiRNAで阻害し、細胞膜上ABCA1の分解抑制、ABCA1の細胞膜発現量・機能の増強が実現するかを検証する。本実験を通じて見出された陽性遺伝子については、遺伝子改変動物を作出し、本治療戦略の機序に関するPOCの取得に備える。
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