2021 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルの動的構造変化の蛍光非天然アミノ酸・遷移金属イオン間FRET解析
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20H03424
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 教授 (80211887)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 受容体 / 動的構造変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Two pore channel (TPC3) の膜電位センサーの動的構造変化に焦点をあて、以下の研究を行った。第2リピートの膜電位センサー上のQ507の位置に蛍光をラベルしたコンストラクトを用いたVoltage Clamp Fluorometry (VCF) 解析により、蛍光変化-膜電位関係のプロットにおいて2つの成分が存在すること、その第2相が第1リピートへのPIP2の結合により左側にシフトすること等を明らかにし、その成果を論文として発表した。 さらに、第2リピートの膜電位センサーの動きの2つの相の詳細等を明らかにするために、膜電位固定下tmFRET法の適用に取り組んだ。まず、donor となる蛍光非天然アミノ酸 (fUAA) を第2リピートの膜電位センサーの細胞外側寄りの各アミノ酸残基に一か所ずつ導入し、最適位置としてSer506もしくは Gln508を選択した。次にacceptorとなるTETAC-Cu2+を結合させるためにCys残基を導入する位置の候補を、構造のホモロジーモデル上で上記fUAAの近傍にあることを条件に検討し、第1リピートの第5膜貫通部位の細胞外側寄り、第2リピートの第3膜貫通部位の細胞外側寄りとすることとした。現在、その中から最適コンストラクトの探索を進めている。 また、膜電位センサーを持たないATP受容体チャネルP2X2の動的構造変化と膜電位依存的ゲーティングの分子基盤に関する、fUAAを用いた膜電位固定下蛍光解析法による研究成果をとりまとめ、論文として発表した。 さらに、Gタンパク質結合型内向き整流性K+チャネルを対象に、Gly156Ser等の病態変異体のイオン選択性の異常が第2のイオン透過路の形成によることを明らかにし、論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光非天然アミノ酸等を用いたイオンチャネルの動的構造変化に関する論文を発表した。また、tmFRET法の確立に向けた実験も進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
TPC3チャネルの膜電位センサーの動的構造変化の2つの相の詳細を明らかにすることを目指し、tmFRET法等の光学解析を用いて研究を推進する。
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