2020 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジン受容体を標的とした構造に基づく創薬
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20H03434
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森本 和志 九州大学, 薬学研究院, 助教 (10826548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広川 貴次 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (20357867)
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / GPCR / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に5種類存在するプロスタグランジン(PG)類のうち、PGE2にはシグナル伝達の異なる4種類の受容体が存在し、最も多様な生理作用を担っている。このうちのEP4受容体は、腸管粘膜保護やがん免疫応答に関わることから、近年、潰瘍性大腸炎や抗がん剤開発の標的として注目されており、詳細な立体構造情報の解明が期待されていた。研究代表者らはこれまで、X線結晶構造解析によりアンタゴニストを結合した不活性型EP4受容体の立体構造を決定してきたが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)はアゴニストおよびGタンパク質の結合により大きく構造を変えるため、これらを結合したGPCR-Gタンパク質複合体の立体構造解析が不可欠であった。 そこで本年度は、クライオ電子顕微鏡単粒子解析を用いた立体構造解析に取り組み、EP4受容体-Gsタンパク質複合体の構造決定に成功した。本構造から明らかとなった点を以下に示す。 1) 不活性型に比べ膜貫通(TM1)の細胞外側が内側へと変位し、リガンド侵入口を塞いでいた。 2) Gs共役のGPCRではTM6の細胞内側がより大きく開くことが知られるが、それらに比べEP4の構造変位は小さいものであった。 3) 通常GsのC末端はTM6側へとフックした構造を取り、GPCRに結合するが、EP4の場合は逆側のTM1およびヘリックス8側へと伸びた構造を取っていた。 以上の結果より、EP4受容体の持つユニークな活性化様式が明らかとなり、またEP4受容体を標的とした創薬研究がより一層推進されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はPG受容体の構造解析および構造情報を基づく化合物開発を目的としている。本年度は活性型EP4受容体の構造解析に成功し、発表を行っており、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きPG受容体の構造解析に取り組んでいきたいと考える。またリガンド開発研究にも着手していく予定である。
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