2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H03442
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
宮岡 佑一郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, プロジェクトリーダー (20549521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 朋子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (10638802)
高橋 剛 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (70802817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / Cas9 / Cas12a / HR / NHEJ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム編集の再現性を高める、つまり標的DNA配列を毎回狙い通りに改変できる技術の開発を進めている。 接着末端を生じるCas12aでゲノムDNAの2カ所を切断し、その末端配列が互いに相補的になるようにgRNAを設計することにより、予測通りの正確な欠失を導入するために最適な、2分子のCas12aの配向性を検討した。2分子のCas12aを誘導するためのgRNAのPAMを、外側に配向させる場合、内側に配向させる場合、同じ向きに配向させる場合の3種類の組み合わせでそれぞれ欠失を導入した。その結果、2分子のCas12aをgRNAのPAMが内側を向くように配置した場合に、最も効率よく予測通りの欠失が導入できることが明らかとなった。 ドナーDNA配列通りの、正確なゲノム編集が可能になるDNA組換えを促進する分子をスクリーニングするために、ゲノム編集結果を蛍光で検出できるレポーターK562細胞を樹立した。DNA組換えをEGFP、挿入・欠失をmCherryで検出できるTraffic Light Reporter配列を、複数ゲノムに挿入し、さらにDox誘導性のCas9を有するK562細胞株を複数樹立した。樹立した細胞株のそれぞれにおいてDNA組換えと挿入・欠失の検出をフローサイトメーターにより行った。その結果、低いバックグラウンドで、組換えと挿入・欠失を検出できる細胞株を得た。 組換えゲノム編集効率が高いHEK293T細胞cDNAのレンチウイルスライブラリーを作製し、このレポーターK562細胞に感染させた後、ゲノム編集を誘導し、セルソーターによってソーティングを行う系を確立した。さらに、ソーティングした細胞から確実にレンチウイルス由来cDNA配列を増幅するためのPCR条件の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2分子のCas12aによる欠失導入では、当初の予定通り2分子をどの向きに配置することで効率良く設計通りの欠失を導入できるかを明らかにした。また、Cas12aの切断によって生じる末端配列が相補的なもの、非相補的なもの、またはランダムにしたもの、それぞれのレンチウイルスの作製を進め、次年度以降のスクリーニングの準備も進めた。 DNA組換えゲノム編集促進分子のスクリーニングでは、EGFPとmCherryでDNA組換えと挿入・欠失をそれぞれ検出できるレポーターK562細胞株を予定通り樹立することができた。さらに、HEK293T細胞cDNAのレンチウイルスライブラリーを感染させ、ゲノム編集結果に従って細胞をソーティングする次年度以降のスクリーニングの準備も進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cas12aによる欠失導入では、PAMを内側に向けた配向性で、生じる接着末端配列をランダムにしたレンチウイルスライブラリーを、Dox誘導性のCas12aを有するHEK293T細胞に感染させる。感染後にDoxによりCas12aを発現させ、欠失を誘導する。このレンチウイルスライブラリー配列を特異的に増幅するプライマーで、生じたゲノム編集結果を次世代シークエンスによって解析する。コントロールとして、レポーター細胞にDoxを添加しないままゲノムDNAを抽出し、同様の解析を行い、欠失を誘導した細胞と比較する。接着末端のランダムな配列とは別に、それぞれのレポーター配列を識別するためのバーコード配列を、ウイルスライブラリーの末端に用意しておく。このバーコード配列を識別子として、Doxを添加した細胞としていない細胞の間で、レポーター配列の変化を追跡し、どのような末端配列が予想通りの欠失をもたらしやすいかを検討する。 DNA組換え促進因子のスクリーニングでは、レンチウイルス配列由来のcDNAを増幅するためのPCR条件を最適化し、増幅されたcDNA配列を次世代シークエンスにより網羅的に解析する。レポーターK562細胞の蛍光にしたがって、DNA組換えを起こした細胞、挿入・欠失変異を生じた細胞を単離し、加えてゲノム編集を誘導していない細胞もコントロールとして分取する。それぞれの細胞集団からゲノムDNAを抽出し、各々に含まれるcDNA配列を比較することで、どのような遺伝子がDNA組換えを起こした細胞集団に濃縮されているか、あるいは減少しているかを明らかにする。
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Research Products
(7 results)