2020 Fiscal Year Annual Research Report
HOXクラスター上に形成されるCRM1依存的な相分離構造体の実体解明
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20H03444
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
岡 正啓 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 細胞核輸送ダイナミクスプロジェクト, プロジェクトリーダー (40432504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 明良 大分大学, 医学部, 特任教授 (00167339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CRM1 / ヌクレオポリン融合遺伝子 / 相分離 / HOX |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患では、染色体転座により核膜孔構成因子(ヌクレオポリン)であるNUP98やNUP214と様々なパートナー分子が形成するヌクレオポリン融合遺伝子が発現し発がんに寄与している。NUP98-HOXA9やSET-NUP214などのヌクレオポリン融合遺伝子産物は共にFG(フェニルアラニンーグリシン)リピート構造を有し、相分離構造体を形成する。またこれらの因子は核外輸送因子CRM1依存的にHOX遺伝子を活性化することがわかっている。本研究では白血病関連因子が形成する相分離構造体とHOX遺伝子活性化の関連を明らかにする。さらに現行CRM1阻害剤の問題点を克服した新規CRM1阻害剤の開発に向けた基盤となる研究を進める。本年度はヒト白血病細胞株を用いて細胞固定、免疫沈降ならびに質量分析の条件検討を行い、相分離構造体を形成するヌクレオポリン融合遺伝子産物と相互作用を示すタンパク質を網羅的に同定した。さらに、ヌクレオポリン融合遺伝子を発現する安定発現株を取得して解析を進めた結果、異所的に発現させたヌクレオポリン融合遺伝子産物には相分離構造体の形成能は見られるものの、細胞種によって細胞内局在や下流遺伝子の活性化に相違がみられることが明らかとなった。またこれらの相違には、クロマチン制御因子が関与することが示唆された。現在、相分離に影響すると考えられるヌクレオポリン融合遺伝子各種変異体の作成や解析を進めている。さらにスクリーニングによりCRM1依存的な核外輸送を阻害する複数の化合物を見出すことができた。現在、その改変や性状解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヌクレオポリン融合遺伝子産物と相互作用する因子を見出すことが出来た。また、ヌクレオポリン融合遺伝子とクロマチン制御因子の新たな関連が示唆された。さらに新規CRM1阻害剤の開発に向け研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
相分離構造体がどのように遺伝子活性化に寄与するか、そのメカニズムは不明な点が多い。今後、ヌクレオポリン融合遺伝子産物の各種変異体や結合因子、ならびにクロマチン制御因子と核内相分離構造体の関連について解析を進める。また、新規CRM1阻害剤の解析を進める。
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Research Products
(10 results)