2021 Fiscal Year Annual Research Report
The role of SLFN11 gene that determines DNA damage sensitivity at the stalled replication forks
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20H03450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 穣 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30281728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝木 陽子 京都大学, 生命科学研究科, 特定講師 (00645377)
牟 安峰 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (20894455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SLFN11 / 複製ストレス / 複製フォーク / DNAファイバー法 / RAD51 / DNA2 / MRE11 |
Outline of Annual Research Achievements |
SLFN11遺伝子はSLFNファミリーの一つであり、そのがん細胞における発現は、多くの抗がん化学療法剤の殺細胞活性や高感受性と相関し、患者にとって良好な予後因子となるとされている。しかし、SLFN11の機能とそのメカニズムはいまだ明らかではない。我々は、SLFN11発現によるDNA損傷感受性増大がDNA複製フォークの分解促進に起因することを発見した。本研究ではそのメカニズムを明らかにするため、フォーク保護因子・分解因子にSLFN11発現が及ぼす影響に着目して解析 している。昨年までの検討で、SLFN11がDNA2やMRE11などのヌクレアーゼによる分解を促進すること、停止複製フォークにRAD51の集積が抑制することを見出した。RAD51はフォーク安定化因子であり、SLFN11のフォーク不安定化とDNA損傷感受性を増加させる作用は、RAD51の制御を介するものと結論された。しかし、これは、SLFN11が直接RAD51を制御することをただちに意味するものではない。2021年度の研究で、我々は、自然免疫系のある重要因子がSLFN11のノックアウトによって、転写量が千分の1に低下することを見出した。この因子は、DNA修復や複製フォークを抑制するという報告がある。SLFN11の複製フォーク安定性がこの因子発現によって影響されている可能性を現在確認している。また、マウスのSLFN8/9/10のノックアウト細胞の作成、ヒトSLFN11ノックアウト細胞へのSLFN8/9の単独発現による複製ストレス応答、フォーク分解などの検討から、これらのマウスSLFNファミリーがヒトSLFN11のホモログであることが示唆された。さらに、ヒトiPS細胞においてSLFN11ノックアウトを行い、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SLFN11の意外な下流分子の同定に成功しており、当初の見込み以上の成果と言える。また、マウスホモログ候補の機能を観察できた。さらにヒトiPS細胞におけるノックアウトに成功するなど、様々な成果が上がっており、当初の計画以上と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を強力に推進するためには、研究室の現状からややマンパワーの不足を感じている。研究補助員の雇用を行いたい。
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