2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Mechanisms of T cell Selection for Self-Tolerance
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20H03465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高場 啓之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (50637444)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己免疫 / 免疫監視 / 胸腺上皮細胞 / 免疫寛容 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは新規の病原体に対しても応答可能な獲得免疫システムを備えている。この獲得免疫システムは自己の成分には応答しないという自己免疫寛容を成立させており、その自己には応答しないよう制御している中心的な細胞集団がT細胞である。すべてのT細胞は胸腺で出来上がり、その特徴として、T細胞の抗原受容体を膜上に発現させている。T細胞抗原受容体(TCR)は、遺伝子組換えにより、胸腺内でおよそ1兆種類以上つくられると見積もられており、出来上がったTCRタンパク質がどのように自己には応答しないようにされているか、長年不明であった。この疑問をもとに、申請者らはこれまでに、胸腺髄質で自己抗原を発現させる髄質上皮細胞に着目し、髄質上皮細胞(medullary thymic epitherial cells, mTECs)に選択的に発現している転写制御因子AireとFezf2の機能を明らかにした。mTECは1細胞レベルで、異所性にさまざまな末梢組織の遺伝子を自己抗原として発現させており、自己成分応答性T細胞の除去に関わる。申請者は、AireまたはFezf2遺伝子欠損マウスを用いることで、自己成分応答性T細胞の中に、胸腺で除去されず、末梢組織で機能するヘルパーT細胞の亜集団がいることを見出した。特にFezf2依存的につくられるヘルパーT細胞サブセットに着目し、このサブセットが胸腺からどの末梢組織へ移行するか、そして、末梢組織でどのような機能を担うのかを分子レベルで明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腺内で独立したヘルパーT細胞のサブセットを見出しており、シングルセル解析により、いくつかのマーカー遺伝子を同定することに成功した。また、マーカー遺伝子の中でCreマウスを入手しFate-Mapマウスを作製することに成功した。このマウスを用いることでシングルセル解析のみならず、マーカー遺伝子を用いてT細胞の分化経路を追うことができるようになり、可能な実験の幅が大きく広がった。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢組織へ移行するヘルパーCD4T細胞の中に、脂肪組織や皮膚、脳へ移行するサブセットを見出しており、シングルセル解析により、いくつかのマーカー遺伝子を同定した。またFate-mapマウスの樹立にも成功しており、今後は、Fate-Mapマウスとシングルセル解析を駆使することで、胸腺内でのT細胞の選択機能と、選択された後のT細胞サブセットの生理学的、または病理学的な機能を調べていく。
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