2020 Fiscal Year Annual Research Report
マダニ体内におけるSFTSウイルスの感染動態の解明
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20H03479
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高野 愛 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (90700055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 宙 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40719887)
松村 隆之 国立感染症研究所, 免疫部, 室長 (50434379)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マダニ / SFTSV |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、BSL3施設内におけるマダニを用いた人工感染実験系の確立を行なった。 まずは、ウイルス遺伝子を検出する定量リアルタイムPCR系を確立し、10個のウイルス遺伝子まで検出可能であることを確認した。同時に、複数のマダニ種について、house keeping遺伝子を用いたinternal controlの定量リアルタイムPCR系を確立した。これにより、マダニ遺伝子当たりのウイルス遺伝子量を算出可能となった。 次に、野外で採取した複数種の親マダニが産卵・孵化した幼虫について、ウイルス感染の有無をリアルタイムPCRにて確認したのち、マウスに吸血させ、若ダニを作出した。これら複数種の若ダニにmicroinjectionを実施し、経時的に1個体ずつウイルス遺伝子量を計測した。その結果、接種直後と比較し接種1週間後にウイルス遺伝子量が増えており、microinjectionにより感染マダニの作出に成功したと判断した。マダニ種における差異は今の所ほとんど観察されていない。 経時的なウイルス遺伝子量の定量により、ウイルス遺伝子の維持期間を解析中である。一部の時間区分ではウイルス遺伝子の検出と合わせて段階希釈法を用いたウイルス分離を実施し、感染性ウイルス粒子の定量を実施した。 さらに、野外感染マダニを解析する機会に恵まれたことから、経卵感染感染の有無ならびに孵化後経過時間によるウイルス検出個体数(孵化個体における陽性率)を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工感染実験系を確立できており、ウイルス検出ならびに分離も実施できており、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はウイルス分離をより多くの時間区分で行うと共に、その結果を踏まえ感染ウイルス粒子のマダニ体内における局在を電子顕微鏡ならびに特異抗体を用いた免疫染色により解明する予定である。また、感染マダニを用いたマウス実験系の確立を目指す予定である。
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