2020 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生病原アメーバにおける宿主特異性関連因子の解明
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20H03482
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 客員教授 (10147168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧内 貴志 東海大学, 医学部, 講師 (80587709)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Entamoeba nuttalli / 赤痢アメーバ / 宿主特異性 / 比較ゲノム / 表面タンパク質 / モノクローナル抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マカク属のサルを自然宿主とする腸管寄生病原アメーバEntamoeba nuttalliにおいて、ゲノム解析に基づき、プロリン・トレオニンリッチな8アミノ酸[G,E]KPTDTPSの42回反復を含む種特異的なタンパク質(PTORS)を同定している。このタンパク質の全長について、大腸菌で組換え型タンパク質を調製した。精製したタンパク質をアジュバントとともにマウスの皮下に複数回接種し、血清抗体価の上昇を確認した後に、細胞融合法によってマウスモノクローナル抗体の作製を試みた。ELISA法によるスクリーニングの結果、6クローンの抗PTORS抗体産生ハイブリドーマを樹立した。産生抗体は4クローンがIgG1、1クローンはIgG2b、他の1クローンはIgAであり、L鎖はすべてκ鎖であった。これらすべての抗体は免疫蛍光染色において固定したE. nuttalli栄養型虫体の細胞膜と反応した。また、IgG1抗体のうちの2つを除く4つのモノクローナル抗体は生虫体とも反応し、虫体表面を認識していることが確認された。さらに、E. nuttalliのPTORSを強制発現させた赤痢アメーバ株を樹立し、この株に対してのモノクローナル抗体の反応性解析においても、PTORSが虫体表面に発現していることを確認した。また、ウェスタンブロット解析では、105kDaと120kDaの2つのバンドが検出され、これらは翻訳後修飾前後のタンパク質の分子量を示していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
E. nuttalliのPTORSに対する特異的なモノクローナル抗体を作製することができ、その応用が可能になった。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によって海外渡航が制限され、計画していた海外分離株の解析は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したE. nuttalli特異的なモノクローナル抗体について、認識する抗原エピトープの局在解析を行う予定である。特に、反復配列の免疫原性に着目して解析を進める。また、国内外のE. nuttalli分離株に対するモノクローナル抗体の反応性についても解析する予定である。この他、海外の未調査地域でのE. nuttalli株の検索と解析も実施したい。
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Research Products
(11 results)