2020 Fiscal Year Annual Research Report
パイロトーシス細胞が放出するリステリア増殖抑制因子の解析
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20H03484
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須田 貴司 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (70250090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 恭平 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (10463829)
土屋 晃介 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (50437216)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リステリア / パイロトーシス / 細胞内増殖抑制活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はCaspase-1強制重合化によりパイロトーシスを誘導したEG7マウス胸腺腫細胞の培養上清中に、Raw264.3マウスマクロファージ様細胞に感染させたリステリア菌(L. monocytogenes)の細胞内増殖を抑制する(以下ICLGS = intracellular Listeria growth suppression)活性を見出した。メタボローム解析で上記培養上清中にスペルミジンが検出されたこと、スペルミジンがICLGS活性を示したことなどから、ICLGS因子はスペルミジンであると仮説を立てた。令和2年度は生理的なパイロトーシス誘導系で上記仮説を検証することを目的とした研究を行い、以下の成果を得た。生理的な条件でパイロトーシスを誘導した細胞の培養上清中にICLGS活性が検出されるか検討した。その結果、Raw264.3マウスマクロファージ様細胞をNALP1アクチベーターであるVal-boroProで刺激してパイロトーシスを誘導した培養上清中にICLGS活性を検出することに成功した。そこで、この培養上清中のスペルミジンの濃度をポストカラHPLC法で定量したところ、4~5μMのスペルミジンが検出された。しかし、スペルミジンが単独で有意なICLGS活性を示す濃度は25μM以上であるため、培養上清中にはスペルミジン以外にもICLGS活性を示す物質が存在すると考えられる。上述のVal-boroPro誘導パイロトーシス細胞の培養上清中にはスペルミジンと同程度の量のスペルミンも検出された。スペルミンもスペルミジンと同程度のICLGS活性を示すことから、他のスペルミジン関連ポリアミンがICLGS活性を示すか検討したところ、N1アセチルスペルミジンもICLGS活性を示すことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は新型コロナ流行による制限のため、予定より2か月程度実験の進行が遅れたが、研究費の繰越申請を行い、予定通り研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究から、生理的なパイロトーシスを誘導した細胞からスペルミジンに加え、スペルミンが放出され、それらが細胞内リステリア増殖抑制因子として働くことが示された。今後は、これらのポリアミンがリステリアの細胞内増殖を抑制するメカニズムの解明と、動物レベルでのリステリア感染に対する抵抗性におけるICLGS因子の効果の検証などを目指した研究を行う予定である。
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Research Products
(4 results)