2020 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陽性病原菌の宿主炎症応答を利用した生体内増殖機序の解明
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20H03489
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原 英樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (30456892)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感染症 / 炎症 / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
病原体が感染すると様々な炎症応答が誘導される。なかでも、申請者はリステリアや黄色ブドウ球菌といったグラム陽性病原菌が感染した際に、炎症の一種であるインフラマソーム応答が活性化すること、また興味深いことに、これらの病原体がインフラマソームを活性化することで感染宿主内での菌の増殖を加速していることを見出した。本研究では、これらの病原菌が宿主炎症応答を利用して生体内増殖するメカニズムを解明する目的で、感染で誘導されるインフラマソーム応答に関わる分子の同定とインフラマソームを活性化させる菌側の因子について検討を行った。 リステリア感染におけるインフラマソームの活性化には主要病原因子が関与することを申請者は明らかにしていた。今回の実験から、同活性が主要病原因子の膜傷害活性に非依存的であることが判明した。さらにインフラマソーム応答を促進する分子機構を調べたところ、主要病原因子が特定のリン酸化酵素を活性化することでインフラマソーム構成因子をリン酸化修飾することを見出した。このリン酸化修飾はインフラマソームの活性化に必要であることから、主要病原因子がリン酸化反応を誘導することで、インフラマソームの活性化を増強していることが明らかとなった。そこで、この主要病原因子がリン酸化シグナルを活性化する分子メカニズムを解明するために、主要病原因子内の責任領域を絞り込んだ。その結果、本活性が特定のアミノ酸で制御を受けており、ある1アミノ酸に変異を加えるだけでインフラマソーム亢進能が消失することを突き止めた。次年度はこれらの分子機構を詳しく解析するとともに、動物感染実験でも検証をすすめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな問題もなく進行しているので、予定通りにすすめていく。
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