2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H03493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 宏 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30303621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 友介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00725533)
渡辺 崇広 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (10624398)
伊藤 嘉規 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20373491)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Epstein-Barrウイルス / 悪性リンパ腫 / 欠失ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
Epstein-Barr virus (EBV) は、ほとんどの成人に感染している普遍的なウイルスである一方、様々なリンパ腫/上皮系腫瘍の原因ともなる。我々は最近、慢性活動性EBウイルス感染症に対して、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行い、高率にEBV遺伝子の一部が欠失していることを発見した。これまでの予備実験により、共通する複数の欠失遺伝子が、ある種のEBV関連リンパ腫に高頻度に認められることを見出している。本研究では、疾患に特有の欠失遺伝子をノックアウトした変異ウイルスを作成し、培養細胞を用いたin vitroおよびヒト化マウスを用いたin vivoモデルにより、ゲノム欠失の役割を解明することを目指している。 初年度は、先行研究にて欠損頻度の高かったC promoter (Cp)の意義を明らかにするために、Cp欠損株を作成し、Cp欠損により効率的にB細胞の形質転換を引き起こすこと、免疫不全マウスを用いたin vivoリンパモデルでリンパ増殖性疾患の進行が早まることを明らかにした。 二年目にあたる本年度は、EBV陽性バーキットリンパ腫で時に見られるEBNA2欠損についての解析を試みた。EBNA2を欠損したEBVをB細胞に感染させたところ、RNAseqにより免疫チェックポイント分子である宿主PD-L1の発現が減弱することを見出した。さらに、PD-L1の発現はEBV溶解感染を誘導し、NFκB、MAPK, AKT経路を活性化させ、EBNA2の欠損はこれらの発現を減弱させることを確認した。以上より、EBVはEBNA2の発現を介してPD-L1を誘導し、免疫回避を行っていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、EBV陽性リンパ腫で欠損頻度の高かったCpの意義を明らかにし、二年度はEBNA2欠損の生物学的意義を示すことができた。本研究の目的であるゲノム欠失の役割を解明のための、貴重な知見を集積できており、おおむね、計画通りと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ腫以外のEBV関連腫瘍のWhole EBVシーケンシングを行い、先行研究で我々が見出した欠失ウイルスがEBV関連腫瘍で普遍的にみられる事象であるのか、リンパ腫に限定しているのか、さらには疾患特異的な遺伝子欠失が存在するのかを解析する。得られた知見は、EBV関連リンパ腫のみならず上咽頭がん・胃がんなどEBV関連上皮系腫瘍に共通する分子機構、さらには他の腫瘍ウイルスの発がんメカニズムを解き明かすと考えている。
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Research Products
(5 results)